そもそもサブドメイン・サブディレクトリとは何か
サブドメインとは、「http://example.com/」を本体(ルートドメイン)とした場合に、「http://sub.example.com/」の”sub”の部分をルートドメインに対するサブドメインと呼びます。一方「http://example.com/sub/」の”/sub/”の部分はサブディレクトリと呼びます。
身近なサイトではYahoo!でもサブドメインでのサイト展開がされています。
- Yahoo!JAPAN: http://www.yahoo.co.jp/
- Yahoo!オークション: http://auction.yahoo.co.jp/
- Yahoo!知恵袋: http://chiebukuro.yahoo.co.jp/
Yahoo!JAPANの「yahoo.co.jp」に対して、「auctions」や「chiebukuro」がサブドメインに当たります。
※実際には「www.」もサブドメインなのですがここではその議論は割愛します。
サブドメインとサブディレクトリの違い
これもGoogleの中で厳密にサブドメインとサブドメインの扱いがどのようになっているかは少し微妙なところもあるのですが、例えば「Yahoo」と検索したGoogleの検索結果を見てみましょう。
Yahoo!JAPANの検索結果の中にYahoo!のサブドメインのコンテンツが束ねられて表示されています。ここから、少なくとも完全な別サイトということではなく本体(ルートドメイン)と密接な関係にあるWEBサイトとして扱われていることは伺えます。
一方、今度は「価格 com」でのGoogle検索結果を見てみます。
こちらはサブドメインではなく、サブディレクトリのコンテンツが先ほどの「Yahoo!」の例と同じように束ねられて表示されます。ここだけ見ると、どちらも検索エンジンからは似たような扱いを受けている部分もあるのではないかという想像はできます。
※2011年10月28日にこのページは作成されていますが、検索結果上の表示は時折検索エンジンの仕様変更により変化することもあります。記事作成時点ではこの表示をされています。
何が違うのか、どう使い分けるのか
基本的には「本体サイトに対して、同じテーマ内のより詳細なコンテンツである場合にはサブディレクトリ、テーマや役割が異なるコンテンツである場合にはサブドメイン」という考え方で良いと思います。
例えばYahoo!JAPANは巨大なポータルサイトですが、Yahoo!知恵袋はQ&AサイトですしYahoo!オークションはオークションサイトです。Yahoo!の名を持つサイトではありますが、サイトとしての性質と目的がそれぞれ異なる独立したものですので、この場合はサブドメインで切り分けるのが自然です。
価格.comは価格比較サイトです。上記の例に挙げた「パソコン」「カメラ」などは、サイト内で扱う商品カテゴリになります。同じ価格比較というテーマの中で、どのコンテンツも最終的なゴールは同じで、単にそれぞれ異なる商品カテゴリを表すページですので、この場合にはサブディレクトリで同一サイト内で展開するのが良いです。
価格コムをサブドメインで展開した場合
もし価格.comをサブドメインで展開したとなると、下記のようなサイト構成になります。
価格.com トップ: http://kakaku.com/
価格.com パソコン: http://pc.kakaku.com/
価格.com カメラ: http://camera.kakaku.com/
これを行うメリットはあるでしょうか??
ちなみに「パソコンやカメラのページがTOPページになるので上位表示されやすい」なんていうことはありません。TOPページが一番上位表示されやすいのはあくまで通常のWEBサイトでは最もTOPページにリンクが集まりやすいためというだけであって、TOPページをより高く評価するなどという決まりは特にないと考えて下さい。
※実際に価格.comは現状でも「パソコン」などのキーワードで常に上位にあります。
また、「サイトが異なるのでそれぞれが外部リンクとして相互リンクの役割を果たせる」と考える方もいるかもしれませんが、それも疑問が残る考え方です。
現時点でGoogleのウェブマスターツールにおいては「サブドメインからの被リンク=内部リンク」とカウントされていることを考慮すれば、通常のサイト内リンクと全く同一の扱いであるかは別としても、少なくとも完全なる別ドメインのサイトからのリンクと同等の扱いではないということは想像できると思います。
つまり敢えてサブドメインを切ることで得られる特別なメリットはあまりないように思えます。
サブドメインを切った場合のデメリット
例えば、サイトを運営していくにあたって出てくる課題として、「アクセス解析が別になる」という問題が上げられます。Googleアナリティクスではサブドメインで切り分けられたコンテンツは独立した別サイトと同様本体サイトと合わせて解析をすることが出来ません。これは実際に運用を始めたら相当な解析に対する負担が生じます。
コンテンツをサブドメインで切り分けたことで異なるサブドメイン間での往来が頻繁に繰り返されるのであれば、正確なアクセス解析が困難になります。大規模サイトの運営におけるアクセス解析の精度の低下は、継続的なWEBサイト改善を行う上での死活問題とも言えます。
SEOの観点で言えば、サブディレクトリで展開している場合であれば、パソコンのページに対して向けられた外部リンクや、カメラのページに対して向けられた外部リンクがあった場合に、それが全て本体のルートドメインに蓄積されます。つまりサイト内でどのページでリンクを獲得しても、それが直接サイト全体の評価の向上につながるのです。
一方サブドメインとして切り分けられた場合、サブドメインに向けられた被リンクのパワーは、ルートドメインに直接蓄積されるわけではなく、リンクを通じてリンク先にページランクを受け流すという間接的なものになります。つまりサブドメインのサイト一つ一つがそれぞれ強化されていかなければいけないのです。
このような理由で、この場合はサブドメインよりもサブディレクトリでの展開が望ましいと言えます。
Yahoo!がサブディレクトリで展開しない理由
ここまでの話を読むと、サブドメインに何のメリットもないと感じる方もいるかもしれませんが、そういうことでもありません。例えばYahoo!のサイトでそれぞれをサブディレクトリで展開するとどのようなことが生じるでしょうか?
①サイト内でテーマがバラバラになる
基本的にSEOを行う上で、サイト全体として1つのテーマを持ち、各コンテンツ毎に情報がテーマ別にまとまって整理されているということは基本中の基本になりますが、ポータルサイト、Q&A掲示板サイト、オークションサイト、ニュースサイト、路線情報、天気情報などが一つのサイトの中に混在していた場合、単に色んなコンテンツを1サイトにグチャっとまとめただけのテーマの一貫性の薄いサイトになってしまいます。
テーマやサイトとしての役割や目的、ターゲットとするユーザーがそもそも異なるので、同じサイト内で展開する必要はありません。1つのサイトで1つのテーマ、はSEOでの基本中の基本です。
②アクセス解析もゴチャゴチャになる
先ほどとは正反対の意見になりますが、ターゲットユーザー、サイト毎のゴール(目標)やKPIが全く異なるものをまとめて解析することはまるでナンセンスです。それぞれ独立して解析を行わなくてはなりません。
その他、システムの設計上の問題も大いに関わってくると思いますが、こういった理由から、Yahoo!はサブドメインでのサイト展開を行う必然性があると言えます。同じようなことは楽天などでも言えると思います。
結論
少し長くなってしまいましたが、結論としては、まずは「本体サイトのテーマの中の1コンテンツ」であればサブディレクトリで展開することにメリットが多いですし、「本体サイトとは役割や目的、サイトのテーマが異なる」場合にはサブドメインでの展開が自然です。
サブドメイン、サブディレクトリということ自体にSEO上の優劣は特にありません。どういった意図でどういうサイト運用・展開を行っていくかによってどちらを用いるかは判断できると思います。