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福島第1原発:2号機圧力容器底部70度前後に上昇

 東京電力は6日、福島第1原発2号機で、原子炉の「冷温停止状態」の判断基準となる圧力容器底部の温度が急上昇し、午前7時現在で73.3度に達したことを明らかにした。東電が保安規定で地元への通報基準としている「80度」に迫る温度で、昨年12月の「冷温停止状態」宣言後で最も高い。冷却水の量を段階的に増やして対応しているが、温度は高止まりしている。

 東電によると、圧力容器底部には三つの温度計がほぼ等間隔に配置されている。このうち一つは今月1日午前中まで50度前後で推移していたが、その後上昇し始め、5日夜に70度を超えた。残り二つの温度計はともに44度前後を指したままだ。

 上昇の原因について東電は、冷却水用の配管を凍結防止のため1月26日に交換したことにより、炉内に入る水の流れが変わり、溶け落ちた燃料の一部に水が十分当たらなくなった可能性があると推定している。

 6日、圧力容器内の気体を調べたところ、燃料の核分裂が連続する「再臨界」の可能性を示すキセノンなどの放射性物質は検出されなかったという。

 温度を下げるため、5日未明から6日未明にかけ、注水量を段階的に増やして毎時10.6立方メートルとしたが、6日午後5時現在の温度は69.2度と70度前後を保っている。1号機は午前11時現在で24.5度、3号機は50.1度。

 温度計は事故後、最大20度の誤差が生じた。東電は冷温停止状態の定義が「圧力容器底部が100度以下」であることから、誤差を最大に見積もって80度を超えれば地元自治体に通報すると保安規定で定めている。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は6日の記者会見で「炉全体としては十分冷えており、冷温停止状態の判断を見直す必要はない」と話した。

 経済産業省原子力安全・保安院は同日、再臨界を防ぐホウ酸水を加えながら注水量を増やすことを求め、東電は応じる方針。保安院の森山善範・原子力災害対策監は「十分落ち着いたと判断するのは早い」と説明した。【比嘉洋、関東晋慈、中西拓司】

毎日新聞 2012年2月6日 20時52分(最終更新 2月6日 21時23分)

 

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