【時の人】初代女流王座 加藤桃子さん(12/13 07:50)

 プロ棋士養成機関の奨励会でひたすら修業を続け、女性初の「棋士四段」を目指す16歳が、女流棋界最高峰のタイトルをつかんだ。清水市代女流六段を3勝2敗で下して初代女流王座に就き、「今シリーズは楽しかった。今は頭が真っ白です。勝てたのはうれしい」と控えめに話した。

 幼いころから将棋一筋。父は奨励会出身で、母も将棋クラブで指導体験があり、英才教育を受けた。牧之原市立細江小6年のとき、女流トーナメントで女流プロを破る大殊勲。母親の実家のある東京の小学校に転校し、2006年、奨励会に女性では史上2番目の若さ(11歳)で入会した。

 08年、悲劇が訪れる。理解ある父が急死し、途方に暮れた。しかし、父との「女性初のプロに」という約束を思い出し、奮起する。今年5月、里見香奈女流3冠の奨励会編入試験3番勝負の最初の相手に選ばれた。当日は高熱で体調は最悪だったが、「奨励会員として絶対に負けられない」と気迫で勝利をつかんだ。

 女流王座戦では持ち味を存分に発揮した。鋭い終盤力で予選、本戦と勝ち進み、決勝では「あこがれの人」をも破った。大舞台にも動じない精神力の持ち主である。尊敬する棋士は渡辺明2冠。本格的な居飛車党。研究熱心で知られ、将棋会館に深夜まで残り、プロの対局を検討している。

 趣味はショッピング、テニス、カラオケ。「気分転換に最適です」。通信制の高校で学業にも精を出し、休む間もない毎日だ。牧之原市出身。

 

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