弁護士村−沈黙の共謀!
渡辺博弁護士の秘密めいた手紙(15)
この言葉を知ったのは、加藤新太郎氏の『弁護士役割論』によってであった。加藤新太郎氏はエリートコースを歩んでいる裁判官であり、法曹界で知らない人はいないだろう。司法修習時代にお世話になった弁護士も少なくないはず。
彼が東京地裁の統括判事をしていたときの判決文を読んだことがあるし、東京高裁統括判事のときにはいわゆる「割り箸事件」と呼ばれる医療過誤訴訟の判決を聞くために傍聴したこともあった。原告敗訴判決だったが、判決文を読み上げたあと、被告(医師)に説諭していたのが印象的だった(これは新聞記事になったと記憶する)。前者の判決文もなかなか人情味あふれるものであった。
ずいぶん前に読んだ本だったが、田中幸子さんの渡辺博弁護士への懲戒請求に対し、第2東京弁護士会・綱紀委員会が棄却決定をしたとき、加藤氏の本によって知った「沈黙の共謀」という言葉が急に蘇ってきた。
決して、突飛なことではない。(以下、超長文です)
それを説明するには、まずは『東急不動産だまし売り裁判 こうした勝った』の著者・林田力さんのブログから、ウエブニュースに掲載されたPDニュース弁護士不祥事−弁護士懲戒請求で対象弁護士が文章閲覧禁止を上申(上)と、その)(下)を読んでもらうしかない。
林田さんが論考しているのは、田中幸子さんの懲戒請求事件のことである。
私は、これまで棄却決定は不当であると、根拠を示さず、書いてきた。
林田さんの論考を読めば、その根拠の一端が理解できるはずだ。なお、一言付け加えておけば、林田さんのブログを読めばわかる通り、彼は統一教会とか田中さんの懲戒請求事件とは無関係のライターである。
では、全文引用する。
*適宜、改行と行空けを行った。 下線とゴチック、*は私。
林田論考(上)
【PJニュース 2010年5月3日】第二東京弁護士会綱紀委員会に係属中の弁護士懲戒請求事件において、 懲戒請求を受けた対象弁護士側(*渡辺弁護士のこと)が自ら提出した証拠書類や証拠説明書、上申書を懲戒請求者に閲覧・謄写させないことを求める上申書を提出していた。
懲戒請求人側だけが相手方の証拠や上申内容を知らない状態で主張立証を余儀なくされたことになり、反発も予想される。 http://www.pjnews.net/news/794/20100502_7
弁護士懲戒請求では裁判と同じように懲戒請求者と対象弁護士が準備書面や証拠を提出し、主張・立証する。懲戒請求者側が提出する証拠を甲第○号証、対象弁護士側が提出する証拠を乙第○号証とナンバリングする点も裁判での原告・被告と同じである。
この弁護士懲戒請求は業務上知り得た情報(懲戒請求者の信仰)の漏洩や品位を損なう広告宣伝などを理由とし、既に複数回の文書の応酬がなされている。
対象弁護士側の上申によって、対象弁護士側が提出した証拠・証拠説明書・上申書については懲戒請求者の閲覧・謄写対象とせず、準備書面については閲覧・謄写用に証拠の引用を削除した版を別に作成した。
対象弁護士側が提出した2010年4月27日付の上申書は閲覧・謄写させない理由を以下のように説明する。
懲戒請求者側はインターネット上で懲戒請求書や関連資料を公開している。提出証拠には第三者(A氏)のプライバシーに関する内容が含まれるため、公開によってA氏への損害や対象弁護士の守秘義務違反になる可能性があるとする。
*「公開」とは、火の粉ブログの「渡辺博弁護士の秘密めいた手紙」のことを指している。
守秘されるべき対象はA氏である。しかし、A氏は田中幸子さん側に立って、陳述書を綱紀委員会に提出し、自分のプライバシーをさらけ出している。
この時点で、渡辺弁護士に課せられている守秘義務は解除されている。
それなのに、守秘義務違反を理由に、証拠・証拠説明書・上申書を田中幸子さんに閲覧させないというのである。
わかりやすい例をあげておく。
患者が医療過誤を起こした医師を訴えたいと考え、病院にカルテのコピーを渡すように申し出た。この時点で医師・病院側の患者に対する守秘義務は解除された。
ところが、病院側は「あなたのプライバシーを守る義務がある」として、患者にカルテを渡さなかった。まるで漫画のような話だが、過去にはこうしたトラブルが実際に起きていた。
渡辺弁護士側は、これと同じような主張をし、綱紀委員会はそれを認めたのである。
ここには対象弁護士側に非公開を求める理由が述べられているが、懲戒請求者側に証拠を吟味して反論する機会が失われてしまうことへの考慮はない。これが公正な手続と言えるか疑問である。
仮に第三者のプライバシーが閲覧禁止を正当化する理由となるとしても、それで機械的に閲覧禁止とするならば問題である。
この懲戒請求事件のA氏は懲戒請求の当事者ではないという意味において第三者であるが、懲戒請求者側が提出した陳述書(甲第17号証)の作成者であり、全く無関係な存在ではない。具体的事実に即してプライバシー侵害になるか慎重な判断が望まれる。
弁護士懲戒制度は権力の不当な介入を避けるために弁護士の自治組織である弁護士会で運用される。
このこと自体には一定の意義が存在するが、弁護士同士のかばい合いが横行し、非行弁護士に甘いとの不満も渦巻いている。 公正に判断したか、身内に甘い判断をしたかは主観の問題であり、様々な意見があるだろう。
しかし、この懲戒請求事件のように対象弁護士側の上申書によって、懲戒請求者側だけは相手方の証拠や上申書を閲覧できない状態では最初から不公正な条件になってしまう。【つづく】
林田論考(下)
【PJニュース 2010年5月5日】(上)からのつづき。
対象弁護士側は同じ日付(2010年4月27日)で別の上申書も提出している。そこでは「本件調査においては、慎重な事実認定にご留意いただくよう求めます。」とする。その理由は以下の通りである。
http://news.livedoor.com/article/detail/4752696/
http://www.pjnews.net/news/794/20100502_8
この懲戒請求は宗教団体のキャンペーンの一環としてなされるもので、当該団体の被害者救済に取り組む弁護士を攻撃することが目的である。
* これは怯えを背景とした捏造的主張である。
事実は、第2東京弁護士会に提出した意見書の「三.田中幸子さんが懲戒請求を出すに至った経緯について」で書いた通り、田中さんから相談を受けた私が懲戒請求することを勧めただけのことである。
懲戒請求は「攻撃することが目的」ではなかった。権利の侵害を回復するための、弁護士法に基づいた国民の正当な権利(懲戒請求権)を行使しただけである。
弁護士が法律を軽視するようなことを書くのは、弁護士倫理に照らし問題である。
また、「キャンペーンの一環」でもない。統一教会の拉致監禁反対のキャンペーン(デモ・ビラ撒き・集会)は、田中さんが懲戒請求した時点で、まだ始まっていなかった。弁護士の文章は情緒的であってはならない。事実に基づいて書くべし。
私は教団本部のある職員に「手紙は教会員の監禁をいざなう違法性の強いものであるから、懲戒請求者の名前には本部職員も名を連ねるべきだ」と提案したことがあった。しかし、この頃は教団は首をひっこめた亀状態にあり、首を縦に振らなかった。
<信者が監禁される可能性がある手紙なのに・・・なんと情けない宗教団体だ>と内心憤慨した。
渡辺氏たちは懲戒請求を統一教会の攻撃だと受け取ったようだが、少しは冷静に考えてみるべきだった。懲戒請求者は田中幸子さんだけ。教団の幹部メンバーは名を連ねかったのだし、しかも代理人もつかなかった。
怯えの感情は、げに怖い。
しかし今後は、注意されたがいい。教団は首を甲羅から出し始めているのだから。
ところで、結果論でしかないだろうが、もう1つ強調しておきたいがある。
田中幸子さんは、懲戒請求が棄却されたあと、統一教会を退会したということだ。統一教会に以前から疑問に感じていたからなのだが、そうした人が懲戒請求を通して、渡辺弁護士を攻撃する。あり得ないことであり、渡辺弁護士の被害妄想といっていい。
客観的に言えば、田中さんの退会が遅れたのは、弁護士からの怪しげな手紙を読んだからであり、<第2東京弁護士会で懲戒請求の決着がつくまで、やめない>と決意したからなのである。
もし渡辺氏を攻撃することが懲戒請求の目的あったら、日弁連に不服申し立てをしていたであろう。田中さんはそれをしなかった。私としては不服申し立てをして欲しかったのだが・・・。
ところで、田中さんに、退会の事実を書いていいかどうか問い合わせたところ、
<書いても大丈夫ですよ。 自分でちゃんとやめられますからねσ(^_^;) 少しでもご家族が安心できる材料になるといいなとおもいます>
渡辺弁護士の手紙にどう書かれていたのか。
<このまま幸子さん統一協会に所属したままでは、一生、自らの力で統一協会から脱出することは不可能です>
しかし、田中さんは誰の手を借りることなく、自分の意思で退会した。
渡辺よ!嘘八百を述べ立てて、弁護士としてまた人として恥ずかしくないのか!
拉致監禁されても辞めない人は辞めない。拉致監禁されなくても辞める人は辞める。
こんな単純なことが理解できないのは、拉致監禁諸派にはオツムの程度がよろしくない人ばかりが集まったということだろう。
もし懲戒請求の議決で宗教団体側に有利な事実認定がされれば「懲戒請求事件において認定された事実」として利用される危険がある。そのために懲戒事由の有無の判断に影響を及ぼさない事実に対して慎重な事実認定を求めるとする。
この上申書(*自分たちが提出した資料を田中さんに見せないでくれと頼んだ内容)も「本上申書及びその添付資料の謄写を許せば、これに対してもその不当な矛先を向け、新たな火種をまくことになりかねない」として、謄写対象としないことを求めている。
この上申書の主張は裁判制度に対する2つの考え方のいずれを採るかによって評価が変わるものである。
第1に裁判制度を目的通りに厳格に捉える考え方である。司法手続きは広く事実を明らかにすることではなく、何らかの具体的な問題(法的紛争)を解決することが目的である。ここからは懲戒事由の有無に影響を及ぼさない事実への慎重な事実認定を求める上申書の主張は至極当然なものとなる。
第2に裁判制度を広い視点で捉える考え方である。現実問題として裁判闘争という言葉があるように社会運動の一環として裁判が行われている。裁判での請求とは直接関係しない傍論の違憲判決が市民運動などで積極的に活用されている。このような動きを好意的に評価する考え方である。
この考え方に立つならば、仮に懲戒請求が特定の団体のキャンペーンの一環としてなされたとしても、懲戒請求の内容を公開して広く社会に訴えることも何ら問題ではない。
反対に自らの主張を相手方には閲覧させない姑息な姿勢が批判されることになる。
もし対象弁護士が第1の考え方から上申書を出したならば筋は通る。
しかし、対象弁護士が裁判制度では第2の考え方を採用しながら、自分の懲戒請求については上申書の主張を採るならば二重基準になる。
いずれにしても懲戒請求者の反論できないところで対象弁護士の主張がなされ、それが判断に影響を及ぼしてしまうならば、懲戒請求者が納得できる公正な手続にはならない。弁護士懲戒請求制度が不公正との不満を裏付ける手続きである。
最後に、この懲戒請求で登場する宗教団体に様々な批判がなされていることは事実である。記者(林田)は新築マンションだまし売りで大手不動産会社と裁判中に、それに付け込む形で宗教勧誘を受けたことがあり、カルトと呼ばれる宗教に対して好印象は抱いていない(林田力「だまし売り被害者にも宗教勧誘の甘い声」オーマイニュース2008年1月21日)。
しかし、カルトであることは懲戒請求者の手続きを軽視する理由にならない。
それは基本的人権の擁護を使命とする弁護士にとって最もふさわしくない発想である。【了】
証拠を提出しなかった!? 渡辺弁護士
林田さんの論考は精緻にして論理的−という印象を抱かれた人は少なくないはずだ。
ただ、背景事情がわからなければ、完全なる読解は難しいかもしれない。
そこで、(裏)事情を説明しておきたい。
田中幸子さんは、2009年の秋に懲戒請求の訴えを起こしてから、最初の懲戒請求書の末尾を見ればわかる通り、証拠(甲号証)を添付したうえで、主張(準備書面)を繰り返してきた。私も何通かの意見書を書き、田中さんはそれを証拠として綱紀委員会に提出していた。
ところが、渡辺弁護士側は主張はするものの、主張を裏付ける証拠(乙号証)を添付することはなかった。綱紀委員会での審理はかなり進んでいると思われていたのに、証拠はいっこうに提出されない。
それで、私は<証拠(裏付け)なき主張(準備書面)は作文にすぎない。綱紀委員会は懲戒相当の議決を出すのではないか。それとも土壇場でバタバタと証拠を出してくるのか>と訝しく思っていた。
しかし、大詰めに近づいても、証拠はいっこうに提出されない。
そんなときに、田中幸子さんは林田さんの存在を知り、綱紀委員会の裏事情を聞かされたわけである。
なぜ、林田さんが裏を知り得たかについては守秘するが、林田さんによれば、論考に書かれていた通り、渡辺弁護士側(代理人は山口広弁護士を筆頭に約40人)は密かに上申書を提出し、証拠・証拠説明書を、田中幸子さんに見せないように申し立てるとともに、「証拠の引用を削除した版(準備書面)を別に作成」し、それを謄写し、田中幸子さんに渡していたのである。
このため、田中幸子さんと私は、渡辺弁護士側は証拠を提出していないと思わされていたのである。
反論する機会が失われた!
渡辺弁護士側は甲号証を閲覧しているのに、田中さんは乙号証の存在を知らなかった。
裁判を経験していない人にとって、この不公平さ、というか奇怪さをリアリティをもって理解することはできないかもしれない。そこで、簡単に裁判の仕組みを説明しておく。
原告と被告は法廷で主張(準備書面)し合うが、前述した通り、証拠なき主張は作文に過ぎないので、書面には必ず証拠(裏付け)を添付する。裁判官は書面と証拠を交互に見ながら、主張に裏付けがあるのかチェックする。
原告・被告も、それぞれの証拠(甲、乙)を見ながら、さらなる反論主張を行う。
この具体例を知るには、裁判が現在進行中の「拉致監禁by宮村の裁判記録」をクリックすればいい。右サイトのカテゴリー「証拠説明書」をクリックすれば、原告・後藤側(甲号証)、被告・宮村ら側(乙号証)の証拠一覧を見ることができる。
ところが、被告からの証拠を、原告が閲覧できなかったら、どうなるのか!
林田さんが書いている通り、「証拠を吟味して反論する機会が失われてしまうこと」になるのである。
両足を縛られた人がマッチョマンと闘うようなものである。
実際の裁判で、あたりまえの話だが、こんな不公平なことは行われていない。もし裁判官がそんな訴訟指揮をしていたことが発覚すれば、全国紙の一面を飾るほどの大騒ぎとなり、裁判官は忌避され、懲戒処分を受け、退官を余儀なくされる。
ところが、第2東京弁護士会の綱紀委員会は、渡辺氏の上申を認め、田中幸子さんに乙号証の閲覧を認めない決定を下していたのである。
林田さんから裏事情を聞いた田中幸子さんは、第2東京弁護士会の綱紀委員会に抗議するとともに、乙号証の閲覧を要求をした。
しかし、結果はNOであった。
弁護士村には沈黙の共謀がまかり通っている。そのことをうすうすは知っていたが、信じられなかった、いや信じることができないほどの驚愕を覚えたといったほうが正しい。
なぜなら、私は山梨県のある弁護士に対して懲戒請求を行ったことがあるからだ。
そのときには、山梨県弁護士会から「対象弁護士が提出した弁明書とともに乙号証」が私のところに送られてきた。それで私は反論書を送った。
こうした体験があっただけに、渡辺弁護士が提出していた乙号証があることを懲戒請求者に知らされないなんてことがあるわけがない、と思っていたのだ。
第2東京弁護士会が田中さんに回答した文章によれば、根拠は「綱紀委員会及び綱紀手続きに関する規則」の49条の2項だという。
第49条:対象弁護士等及びその代理人は、その事案の調査期日調書又は綱紀委員会の調査期日に顕出された証拠書類若しくは証拠物を閲覧し、かつ、謄写することができる。ただし、その日時及び場所は、委員長の指示に従わなければならない。
2:綱紀委員会は、相当と認めるときは、懲戒請求者についても前項の規定の例により閲覧又は謄写を許すことができる。
つまり、裏返して言えば、綱紀委員会が相当と認めないときは、閲覧・謄写は認めないということだ。
なぜ相当でないと判断したのかについては、綱紀委員会からの回答はなかった。
*第49条の2では、対象弁護士からの証拠を見せないことはできるとしているが、証拠が提出されたことを懲戒請求者に知らせないことができるとは、書いていない!
裁判と弁護士会の懲戒の過程(手続き)とは同一ではない。が、形式は同じである。
すなわち、弁護士の非行によって被害を受けた者が対象弁護士の懲戒を弁護士会に請求する。それを受け、弁護士会の綱紀委員会は、懲戒請求者と対象弁護士の証拠に基づいた双方の言い分とそれぞれの反論を聞き、懲戒相当か否かを判断する。
国の法律と違って、弁護士会の内部規則では懲戒請求者側に、対象弁護士が提出した証拠を、相当でないと判断したときには見せなくてもいいとされていた!
これでは、非行弁護士は弁護士会によって庇護されていると批判されても、当然のことであろう。何と姑息な規則!
弁護士村のかばいあい
ワルの弁護士に都合のいいこの不公平規則を読んだとき、目が点になってしまった。
しかし、日本国家が弁護士村に「自治」を法律で認めているから、どうしようもない。
「弁護士懲戒制度は権力の不当な介入を避けるために弁護士の自治組織である弁護士会で運用される」
たいそうご立派な言い分だが、このオカシサを、わかりやすい例をあげて説明する。
弁護士が女性に卑猥な行為をした。
女性が警察に訴えれば、弁護士は人として何らかの刑事罰を受ける。
しかし、そうなったからといって、自動的に弁護士としての処分を受けることはない。
まず、懲戒を請求する人がいなければ、懲戒が相当かどうか審議されることはないし、懲戒請求があったとしても懲戒処分するかどうかは弁護士会の裁量に任されているからだ。
弁護士村の判断によっては、猥褻行為をした弁護士には何のお咎めもなく、刑事処分の翌日から、妙齢のご婦人の離婚相談に応じることだってあり得るのだ。
なんと恐ろしい自治!と、この問題を追及していきたいのだが、テーマから逸れてしまうので控えざるを得ない。一つだけはっきりしているのは、「弁護士会の自治」は弁護士村のかばいあいの隠れ蓑、言い方を変えれば、沈黙の共謀が行われる場になっているということだ。
実際、林田さんという存在がなければ、彼らが提出した上申書も証拠も知る由もなく、懲戒請求棄却の議決文を読んで終わり。沈黙の共謀は貫徹されていたわけである。
いま手元に証拠目録があるが、渡辺弁護士側が提出した乙号証はなんと乙1〜61号証まで。
乙44と45は、渡辺弁護士の陳述書だが、何が書いてあるのか、否、陳述書が出されていたことさえ知らされていなかった田中さんは、何の反論もできず、綱紀委員会は審議は終了してしまった。
私が不当であると繰り返し述べていたことは、立場を超えて、理解してもらえるだろう。
沈黙の共謀の面々
まず、田中幸子さんに乙号証を閲覧させないことを決めた共謀の親玉の名前をあげておこう。
第2東京弁護士会・綱紀委員会第一部会長の渡邉光誠(こうせい)氏である。
この人のプロフィールは渡邉光誠。経歴だけからの判断だが、おそらく渉外弁護士だろう。
では、田中さんに閲覧させないでと頼んだ渡辺弁護士の代理人は誰か。私の寸評を入れて紹介しておく。どんな人か知りたければ、ネットで検索をかけてみてくだされ。
・伊藤和夫/著名な人権派。袴田事件の元弁護団団長。難民の人権問題でも奔走。以下の弁護士諸君とは別格。人格高潔な人と言われている。2010年に享年81歳で逝去。
・中村周而/新潟・青春を返せ裁判の担当弁護士。お仲間は松永牧師。後藤さんが訴えた松永氏の代理人。所属弁護士会は新潟県弁護士会。
・大神周一/福岡弁護士会。泰道でお世話に。全国弁連のメンバーだが人柄はいい。(あっ、ここに登場する弁護士はすべて全国霊感商法対策弁護士連絡会=全国弁連のメンバーです。伊藤和夫先生だけは拉致監禁の実態をご存知なかったと思う)
・水野英樹/第2東京弁護士会。
・小川泰三/東京弁護士会。
・木村豊/広島弁護士会。
・神谷慎一/岐阜県弁護士会。
・三宅俊司/沖縄弁護士会。
・紀藤正樹/伊藤先生とは対極にある自称人権派。テレビのスポットライトが浴びているところならどこでもヒョコヒョコと顔を出す。安愚楽牧場問題が起きたとき、必ず顔を出すと予想していたが、やっぱし。オウム事件が起きたときにも、いかにも知ったか風にテレビに顔を出し、オウム弁護団から”パージ”された。有田氏も嫌っていた。私に「紀藤氏には気をつけろ」と忠告してくれたことがあった。有田氏の選挙で3万円カンパしたのは擦り寄りのためか。この人の話題は尽きないので、いずれブログで取り上げる。所属は第2東京。
・荻上守生/紀藤弁護士の手下。後藤徹さんが訴えた裁判で、被告の後藤兄弟姉妹の代理人に。切れ味は今のところだが、いまいち。第2東京。
・佐々木大介/紀藤弁護士の手下。第2東京。
・吉田正樹/大阪弁護士会。
・一由貴史/長野弁護士会。
・木村壮/山口広弁護士の手下。後藤裁判で山口氏と一緒に宮村峻氏の代理人。第2東京。
・磯部亘/新潟県弁護士会。
・郷路征記/『統一教会 マインドコントロールのすべて』の著者。「保護説得など存在しない」と嘘をつく山口広・渡辺博・紀藤正樹の3人組と違い、堂々と保護(強制)説得を推奨する。裏表がないという点で、私は好きである。ただ傲慢という批判も。北海道弁護士会。
・川井康雄/渡辺博弁護士の手下。第2東京。
・李春熙/在特会と闘う勇気ある弁護士(ただし弁護活動の内容は知らず)。第2東京。
・本間久雄/横浜弁護士会。
・河田英正/高山牧師とつるんでいる弁護士。岡山・青春を返せ裁判の担当弁護士。岡山弁護士会。
・吉井正明/寺田こずえさんが訴えた高澤買春牧師の代理人。神戸・青春を返せ裁判の担当弁護士。ヤマギシ会の子どもの人権問題ではお世話になった。多謝。兵庫県弁護士会。
・中島信一郎/東京弁護士会。
・井上暁/第2東京。
・内田信也/郷路さんのお友だち。ヤマギシの子どもの問題ではお世話になりました。多謝。北海道弁護士会。
・佐藤欣弥/資料では「欣弥」となっているが「欣哉」の誤記だと思う。もしそうなら、山形県弁護士会。
・樋口和彦/群馬弁護士会。
・平田広志/オウム事件のときによくテレビに出ていた人。小出さんの監禁現場にも顔を出すなど拉致監禁事件に深く関わってきた。怠慢を理由に懲戒請求を受けたこともある(請求は棄却)。いつも眉間に皺を寄せる神経質そうな人。福岡弁護士会。
・山口貴士/紀藤弁護士の一番弟子。自意識強く、「俺は紀藤のイソ弁ではない」「俺は統一教会からもっとも恐れられている弁護士」といったような趣旨のことをどっかに書いていたと記憶する。シャープさと論理性にやや欠けるきらいがある。インフォームドコンセントの医学的意味を知らないことがわかり、驚いたことがある。あのときは、満座の席で恥をかかせてごめん。オタクッぽいところが可愛い。カルト新聞の藤倉主筆サマのお友だち。後藤さんが訴えた裁判では、後藤さんの兄弟姉妹の代理人。東京弁護士会。
・江川剛/紀藤弁護士の手下。第2東京。
・鈴木仁史/第1東京弁護士会。
・東麗子/後藤さんが訴えた松永牧師の代理人。第2東京。
・飯田正剛/<人権派弁護士、所得隠し 7年間で3000万円、国税指摘>と書かれた弁護士さん。驚いたことに、懲戒処分は受けなかったようだ。一度、とある勉強会で一緒になったと記憶する。もう20数年前のことだが。東京弁護士会。
・小貫陽介/三重弁護士会。
・綴喜秀光/岐阜県弁護士会。
・長谷川純/渡辺博弁護士の親分。東京弁護士会。
・久保内浩嗣/渡辺博弁護士の手下。第2東京。
・高津尚美/第2東京。
ふ〜ッ。疲れた。
あっそうそう。真打ちを忘れていた。
これらの強面のお兄様・お姉様たちを束ねたのは、わが山口広弁護士(第2東京)である。
汝自らを客体化せよ
まるで四十七士の討ち入りの如き面々が襲いかかったのは、吉良上野介ではない。渡辺弁護士の手紙を親に見せられ、不安を抱いた末端教会員、しかも統一教会に疑問を感じていた田中幸子(30歳)さんにであった。日本統一教会の梶栗玄太郎教会長ならともかく。
恥ずかしくないのかと問いたい。
しかもである。これらの面々はメーリングリストを開設し、昼間っから、小娘対策(田中さん、表現悪く、ごめんね)をやっていた。誰かが前出の「綱紀委員会及び綱紀手続きに関する規則49条の2項」を知っていて、姑息な上申書作戦が生まれたのだろう。ふつうの弁護士なら、こんな規則があることは知らない!
誰が知っていたかは、有田さん風に、今は書けない。
メールでやりとりをするような暇があるのなら、伊藤和夫先生の爪のアカでも飲んで、先生の後輩、渡邊彰悟弁護士がやっているように、ミャンマー人の1人でも助けてみたらどうか、と毒づきたい。
ところで、わが山口広先生は海千山千の、裁判ゲームが得意な弁護士である。
彼が本領を発揮したのは、38人のうち、第2東京弁護士会に所属する弁護士12人を集めたことにある。
弁護士懲戒制度の本質は身内が身内を裁く−ことにある。
山口広氏を含め13人もの身内が身内の代理人になった。裁判ならどんなに多数の弁護士が名を連ねようが、裁判官の心証形成に影響を与えることはないが、同じ弁護士村の第2東京・綱紀委員会は多大なる影響を受けたはずだ。
棄却の議決文には、部会長の渡邉氏の名前しか載っていなかったため、他の委員の顔ぶれを知ることができない。そのため憶測にすぎないのだが、13人の代理人と司法修習を共にした綱紀委員がいたのではないか。仮に同期がいなくてもツテをたどれば、委員と居酒屋で一杯ということは可能である。なにしろ、修習生同期の結びつきの強さは、一般社会では想像もつかないほどだ。
とまれ、結果は見事、山口先生の目論見通りになった。
ただ唯一の誤算は、林田さんの存在であった。
彼によって、いろいろな資料を入手することができ、こうして裏事情を暴露することができたのだから。
読者の疑問はただ一つだろう。
なぜ、渡辺博弁護士たちは、田中幸子さんを怖がり、証拠閲覧を認めなかったのか。
それは彼らにとってはかなりヤバイ、証拠が提出されたからである。
林田さんが論考で言及している「A氏の陳述書」である。
次回はその陳述書を公開することにしたい。
- [2012/02/07 11:03]
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