嬉しい時だけしっぽを振るわけじゃない
しっぽの動かし方や位置によって、ある程度犬の心理を読み取ることが可能。
昔から犬は嬉しいとしっぽを振ると言われてきました。これは正しくもあり、間違ってもいます。
「お留守番をしていたら、大好きなパパさんママさんが帰って来たので、嬉しくてしっぽを振っちゃった」
「今日会うのは初めてだけど、なんとなく気に入りそうな相手なのでしっぽを振ってみた」
「前から知ってる人だけど、ちょっと苦手。その人が近づいて来るまでの間、少ししっぽを振ってみた」
「こいつ、なんか波長が合わなさそう。気に入らないなぁ。だからしっぽを振ってやる」
わかります? 時々、しっぽを振っていたのに相手の犬に咬みついてしまったなんていう話を耳にすることがありますが、犬は嬉しい時でも、ちょっと気をつけたほうがいいぞという時でも、相手が気に入らない時でもしっぽは振るのです。ただ、しっぽの位置や振り方などによって、それが少しずつ違うんですね。
しっぽの位置や振り方に注目
犬の気持ちを探るのにしっぽの位置と振り方は大事なポイントとなります。たとえば、向こうから誰かがやってきました。それに気づいた犬は緊張してしっぽの位置が少し高くなります。暫く様子を伺っていると、どうやら知り合いのような気がしました。しっぽの位置はより高くなり、しっぽをちょっと振ってみました。その人が段々近づいて来るにつれて大好きなAさんであることがわかりました。しっぽの位置はもっと高くなり、振り方も激しくなりました。
このように、何か気になることや興味をひかれるものがあったり、気をつけたほうがいいぞと思うようなこと、いい意味でも悪い意味でも興奮してしまうようなことがあると、その気持ちが高まるほどにしっぽの位置は高くなっていき、振り方も速く、その幅も広くなる傾向にあります。逆に、他の犬に出会ったとして、「あいつはちょっと怖い雰囲気があって俺より強そうだなぁ」なんて思ってしまった時にはしっぽの位置は低くなるとともに振り方もゆっくりめに、そして幅も狭くなり、「自信がないや、もう逃げ出したい」となると股の間にしっぽを挟んだ形になります。
おおむね、「俺のほうが強いんだぞ」とやや支配欲の強い犬は、しっぽの位置が高く、尻尾を小刻みに振る様子がわりと見られ、しっぽの位置がそれよりも低く、振り方も速くなると、その分支配欲も弱まると見ていいようです。