犬のしっぽはいろいろな感情を表現しており、大切なコミュニケーションツールの一つでもあります。ここでは、しっぽからわかる犬の気持ちをお伝えします。
■うれしいときだけしっぽを振るわけじゃない
昔から犬はうれしいとしっぽを振ると言われてきました。これは正しくもあり、間違ってもいます。
「留守番をしていたら、大好きなパパ・ママさんが帰って来たので、うれしくてしっぽを振っちゃった」
「今日会うのは初めてだけど、なんとなく気に入りそうな相手なのでしっぽを振ってみた」
「前から知ってる人だけど、ちょっと苦手。その人が近づいて来るまでの間、少ししっぽを振ってみた」
「こいつ、なんか波長が合わなさそう。気に入らないなぁ。だからしっぽを振ってやる」
わかります? ときどき、しっぽを振っていたのに相手の犬に咬みついてしまった、なんていう話を耳にすることがありますが、犬はうれしいときでも、ちょっと気をつけたほうがいいぞというときでも、相手が気に入らないときでもしっぽを振るのです。ただ、しっぽの位置や振り方によって、それが少しずつ違うんですね。
■しっぽの位置や振り方に注目
犬の気持ちを探るのにしっぽの位置と振り方は大事なポイント。例えば、向こうから誰かがやってきました。それに気づいた犬は緊張してしっぽの位置が少し高くなります。しばらく様子を見ていると、どうやら知り合いのような気がしました。しっぽの位置はより高くなり、しっぽをちょっと振ってみました。その人がだんだん近づいて来るにつれて大好きなAさんであることがわかりました。しっぽの位置はもっと高くなり、振り方も激しくなりました。
このように、気になることや興味をひかれるものがあったり、気をつけたほうがいいぞと思うようなこと、いい意味でも悪い意味でも興奮してしまうようなことがあると、その気持ちが高まるほどにしっぽの位置は高くなっていき、振り方も速く、その幅も広くなる傾向にあります。逆に、他の犬に出会ったとして、「あいつはちょっと怖い雰囲気があって俺より強そうだなぁ」なんて思ってしまったときにはしっぽの位置は低くなるとともに振り方もゆっくりめに、そして幅も狭くなり、「自信がないや、もう逃げ出したい」となると股の間にしっぽを挟んだ形になります。
おおむね、「俺のほうが強いんだぞ」とやや支配欲の強い犬は、しっぽの位置が高く、尻尾を小刻みに振る様子が見られ、しっぽの位置がそれよりも低く、振り方も遅くなると、そのぶん支配欲も弱まるようです。…