コラム:ツイッターの「検閲」、実際は究極の抗議シンボル
Paul Smalera
短文投稿サイトの米ツイッターは26日、当局から投稿の削除要請があった場合、その国や地域でのみ非公開にするシステムの導入を発表。今回の発表を受け、インターネット上では、検閲を可能にするとして反発の声が上がっており、コメンテーターや活動家をはじめネット利用者は、「とても悪い知らせだ」などと怒りのコメントを寄せている。
その例として、米紙ニューヨーク・タイムズによると、ビアンカ・ジャガーさんは、ツイッターのボイコットを呼び掛ける方法をツイッター上で質問。その後、反対派は28日を「ツイッター・ブラックアウト」に設定し、同社への抗議と検閲を受ける可能性のあるユーザーとの連帯を示す意味を込め、一日中投稿しないことを決めた。また、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」は同社に抗議文を送付した。
大事なことは、今の時代が、ツイッターのようにインターネットが成長する時代だということ。透明性を確保することなどを掲げるツイッターの方針は、これまでのテクノロジー企業の方針としては、最も思慮深く、誠実で、現実的だった。共感を得られていない今回の新しい検閲方針もそれを裏付けている。
その理由を理解するために、同社の方針をひも解きたい。まず第一に、ツイッターは投稿を削除しないことを強く示している。検閲と明らかな違いがないように聞こえるかもしれないが、実際は違いが明白だ。新方針とこれまでの方針を合わせて考えると、ツイッターが投稿を完全に削除するのは、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づいた削除要請があった場合に限る。
DMCAにも欠陥があるかもしれないが、DMCAはツイッターが今回発表したプロセスとは異なる検閲の形と言える。DMCAが著作権法違反のコンテンツの削除を要請するのに対し、ツイッターの検閲方針はそのような場合の削除ではなく、検閲を受けた国で当該コンテンツを非表示にするだけだ。
確かに、今回の方針は検閲の一種かもしれないが、疑わしい基準をもとに行っている米国映画協会(MPAA)などの検閲に比べると、ツイッターの方針は理にかなっている。また、ツイッターはMPAAのようにコンテンツを永久に破壊したり、先取り検閲したりはしないとしている。
さらに、ツイッターは削除要請について、検閲する国に対し「公認の機関によって出され、有効かつ適切に調べられたものであるよう」求め、その後要請の対応を決めると規定。また、検閲を受けたコンテンツのユーザーには、その事実を理由とともに通知した上で、要請に対する異議申し立ての方法も教えるとしている。ツイッターは透明性を高めるために、検閲監視サイトのチリング・エフェクツと協力しているが、そういった行動についても同サイトに記録されるという。最終的に当局の要請が認められれば、当該投稿は検閲があった国の他のユーザーに、非表示になったことを知らせるグレーボックスに置き換えられる。 続く...