再生エネルギーの買い取り価格を算定するため、政府が設置する「調達価格等算定委員会」の委員人事が難航している。同委員は国会の同意が必要だが、政府が考えている人選に対して与野党に反発が強いためだ。再生エネルギーの買い取り制度は七月にスタートするが、委員の人選が遅れれば支障が出かねない。 (城島建治)
再生エネルギーの買い取りは、昨年八月に成立した特別措置法に基づく制度。再生エネルギー発電に新規事業者が参入しやすくするため、太陽光や風力で発電した電力を固定価格で全量買い取るよう電力会社に義務付けるのが柱。電力会社は買い取り費用を電気料金に上乗せする。
ポイントは買い取り価格。五人の専門家で構成する算定委の意見を基に、経済産業相が決めることになっており、算定委の人選が重要になる。
政府は昨年中に人選を決めようと、民主、自民、公明三党の意見を踏まえた上で、昨年十一月の臨時国会に委員五人の人事案を提示した。しかし、みんな、共産、社民、国民新、新党日本の五党が「再生エネ特措法に反対してきた経団連幹部も入っており、再生エネルギー促進が損なわれる」(社民党の阿部知子政審会長)として反対。
政府が民自公三党だけの意見を参考にしたことも「談合人事」と反発を呼び、国会同意は得られなかった。
算定委を所管する枝野幸男経産相は一月三十日の参院本会議代表質問で「現在、国会に提示する案を検討している。(昨年)民自公三党に事前に相談したことは好ましくなかった」と説明した。七月からの制度スタートに影響しないよう、なるべく早く国会同意を得たい考えだ。
ただ、再生エネルギーの買い取りで意見を述べられるような専門家は限られている。野党側がまた人事に反発し、宙に浮く懸念もないとはいえない。
この記事を印刷する