東日本大震災後の昨年5月1日現在で、福島県の小学生の数が前年度の7.9%にあたる9240人も減っていたことが、文部科学省が6日公表した学校基本調査(確定値)で分かった。原発事故後に放射線に対する不安が高まり、県外に出たケースが大半と見られる。
全国の小学生は、前年度比1.5%(10万6084人)減の688万7292人で過去最少。少子化傾向が続く中、福島県の幼い世代の減少が際立った。
福島県では、幼稚園児が2万6715人で、前年度から11%(3311人)減少。1965年度以降、最大の減り幅で、3万人を割り込んだ。小学生は10万8428人。減少数は、2010年度までの5年間に減った総数(9818人)にほぼ匹敵する。
中学生は4%減、高校生は3.7%減、大学生は0.6%減と、年齢が上がるほど減少幅は小さかった。文科省の担当者は「幼い子を持つ保護者ほど、放射線の影響を避けたい意識が強かったのでは」と見る。
被災3県では、宮城県の小学生が3263人(2.5%)の減。岩手県も1894人(2.6%)減るなど児童の減少が目立った。
調査は国公私立の幼稚園、小中高校、大学など全校が対象。8月公表の速報値では、被災3県のデータがなく、今回、正確な人数が初めて明らかになった。学籍を残したまま避難先の学校に事実上就学しているケースは、避難先の学校の人数として計上した。
福島県内の市教委によれば、原発事故の避難区域がある南相馬市の今年1月10日の小中学生の数は、それぞれ昨年5月1日の数を4割ほど上回っている。一部地域で緊急時避難準備区域が解除され、小中学校計8校が元に戻ったことなどが影響したとみられる。事故のあった双葉郡に隣接するいわき市も、昨年10月の小中学生の数が、5月の数よりわずかながら増えている。
一方、福島市の小中学生は昨年5月の2万4504人から、12月末には1216人減った。郡山市も減少傾向という。同市教委は「郡山の子が外に避難したり、原発の近くにいた子が当市に避難したりと、複雑な出入りがあるため分析は難しい」としている。