この15年、日本でも幾多のネットベンチャーが勃興しては消え、いち早く覇権を獲得した一握りの企業だけが生き残った。ただ、日本語に守られた極東の“村”で支配的地位を確立したとしても、なかなか世界に出ることができない。世界を制圧した米国勢の勢いを前に、日本ブランドの存在感は薄い。しかし、それでも世界を目指そうとする機運が、ここに来てにわかに高まっている。グローバルを視野に入れつつ、2012年に躍進を狙うネット・IT(情報技術)ベンチャーに着目した。(文中敬称略)
ツイッターにフェイスブック。米国のハイテク集積地、シリコンバレー発の交流サイト(SNS)は世界中の現代人に無くてはならないコミュニケーションツールとなりつつある。ヒトがヒトを呼ぶその伝播力は瞬く間にユーザーを囲い、街が形成され、おしゃべりが始まる。ただ、渋谷に飽きた若者たちが表参道の奥地に場所を移すように、SNSの世界でも「定住」が続く保証はない。
SNSではいくらでも複数のサービスに「住民登録」できる。あまりに街が肥大化した結果、同好の士による「リトルタウン」が勃興し、そこでのコミュニケーションの方が濃くなる可能性もある。実際に米国では、お気に入りの画像を収集・共有する「Pinterest(ピンタレスト)」など、明確な目的や機能に特化したSNSが注目されつつある。
先鋭化するSNS。この流れにいち早く気づいたベンチャーは、日本にも存在する。モノでつながる新手のSNS「Sumally(サマリー)」もその1つだ。
■モノの百科事典「Sumally」、レディー・ガガも視野に
「シリコンバレーみたいな会社が東京でも作れるんだ、ということを証明したくてサマリーを始めました。僕がやりたいのは『ウォシュレット』的なこと。日本人の感覚や感性を生かした世界に通用するクオリティー、とでもいうんでしょうか」。一橋大学卒業後、電通、「VOGUE」や「GQ」擁する雑誌出版社のコンデナスト・パブリケーションズ・ジャパン(東京・渋谷)を経て、11年にサマリー(東京・渋谷)を起業した山本憲資(30)は、真剣な面持ちでそう語る。
おしゃれな家具からクルマ、雑貨、洋服……。サマリーの画面を埋め尽くすのは、とにかくモノ、モノ、モノ。11年9月に一部ユーザーから始まったサマリーのサイトには、すでに25万点以上のモノの画像が登録されている。「ネットにモノの情報はあふれているけれど、整理されていない。ちゃんとしたモノの百科事典を作りたい」。好きなモノに囲まれ、好きなモノを紹介する仕事をしていた山本は、そう考え、一念発起した。
ネット上には「Wikipedia」という百科事典がある。しかし、森羅万象あらゆる情報にモノも混ざり、それらは単一のフォーマットで整理されておらず、ビジュアルも不十分。そして、ソーシャルメディアとしての機能もない。一方、「ビジュアル系SNS」という意味では、急速にユーザー数を増やし、「次に来る」と言われている米国生まれのピンタレストと似ている。が、非なるものだ。
SNS、フェイスブック、ネットベンチャー、ツイッター
「神の粒子」に迫る浜ホトイズム (1/31)
2012年2月7日付 (2/6)
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