昔の話を蒸し返して恐縮ですが大事な話なので敢えて指摘させて下さい。
2010年11月にTechWaveで水谷翔さんというゲストブロガーが蔓延する誤った「ソーシャルメディア」の定義と題するエントリーを書いたことがありました。
僕はその記事の指摘が正しいと思ったけど、その記事のコメント欄では結構、ボコボコに批判されていました。
その批判の先頭にたっていたのは佐々木俊尚という人です。その人はツイッターで「この記事は100%間違っている」と喝破した上で:
と主張しました。僕は(むしろ佐々木氏のこの主張の方がヘンだな)と感じました。
さて、Facebookは米国証券取引委員会に提出したIPO申請書類の中で彼らのビジネスを明快に定義しています。
2010年11月にTechWaveで水谷翔さんというゲストブロガーが蔓延する誤った「ソーシャルメディア」の定義と題するエントリーを書いたことがありました。
僕はその記事の指摘が正しいと思ったけど、その記事のコメント欄では結構、ボコボコに批判されていました。
その批判の先頭にたっていたのは佐々木俊尚という人です。その人はツイッターで「この記事は100%間違っている」と喝破した上で:
そもそもバーチャルの人間関係とリアルの人間関係が融解しつつあるのであって、リアルに固執するのは変。
と主張しました。僕は(むしろ佐々木氏のこの主張の方がヘンだな)と感じました。
さて、Facebookは米国証券取引委員会に提出したIPO申請書類の中で彼らのビジネスを明快に定義しています。
抜粋します。
原文を見たい方はここにSECに提出されたS-1があります。本文の2ページ目にこの定義が出てきます。
つまりフェイスブック社はバーチャルな人格など一言も言及していないわけで、しかも実名を使うことがソーシャル・ウェブを構築する上でいしずえとなるという考え方を打ち出しているのです。もしフェイスブック社の主張が正しいなら「100%間違っていた」のは佐々木俊尚さんということになります。
先日、フェイスブックがIPO申請書類を提出した後、或る欧州の若者がフェイスブックに対して「自分の個人情報がどれだけ蓄積されているか教えてほしい」という開示請求を出しました。
上場会社になるといろいろ社会的な責任とかが出るので、このような開示請求にも応じなければいけなくなるのです。
ところがこの若者に彼個人に関する1,400ページにも上る分析報告書が送られてきたことでアメリカのラジオ(NPR)はこれを面白おかしく報道していたとワイフが言っていました。(僕自身がこのラジオ・ニュースを聞いたわけではありません。)
つまり僕が言いたいことはFacebookは最初っから「うちの世界は実名の世界でっせ。だからあなたの個人情報はガンガン蒐集しまっせ」ということを公言して憚らないサイトなのです。そして誰が何回、どの「いいね」ボタンを押したかなどはすべて貴重な個人情報として蓄積され、将来のマーケティングに活用されます。
これはリアルそのものな世界であり、広告主はそこにFacebookの絶大な利用価値を感じているわけです。
だからユーザーとしては「2ちゃんねる」などの匿名のサイトとおなじノリでフェイスブックを使うととんでもないしっぺ返しを受けます。
ところでなぜこのような話を蒸し返す気になったかと言えば昨日、佐々木氏と広告業界の人たちがツイッター上でバトルになって、佐々木氏が「実名をばらすぞ」と威嚇したら、匿名で彼を批判した連中があっけなく謝罪を入れたという事件があったからです。
佐々木氏は「ヘイ・カモーン!」と雄たけびを上げていましたが、実名が出るぞと脅かされることでツイッター上の喧嘩の形勢が逆転してしまうこと自体、「リアルとバーチャルな人間関係は融和する」というある種、ユートピア的な考え方の限界を自ら示しているわけで、そこにコミカルな愉しみを感じずにはおれなかったのです。
【追記】
はてなで「Authentic identity」の訳について質問があったので書き足します。
authenticとは真正という意味で、identityは突き止められた正体の意味です。だからauthentic identityは「本人」と訳しても良いと思います。
Foundations of the Social Web
Authentic Identity. We believe that using your real name, connecting to your real friends, and sharing your genuine interests online create more engaging and meaningful experiences.
ソーシャル・ウェブの礎(いしずえ)
ほんとうのアイデンティティ
フェイスブックはユーザーが実名を使用することでリアルのともだちとつながること、そして彼らとネットを通じて本人達がほんとうに興味をもっていることをシェアできる場をつくることでネット生活をよりエンゲージング(=はまること)で意味ある体験にすることを目指している。
原文を見たい方はここにSECに提出されたS-1があります。本文の2ページ目にこの定義が出てきます。
つまりフェイスブック社はバーチャルな人格など一言も言及していないわけで、しかも実名を使うことがソーシャル・ウェブを構築する上でいしずえとなるという考え方を打ち出しているのです。もしフェイスブック社の主張が正しいなら「100%間違っていた」のは佐々木俊尚さんということになります。
先日、フェイスブックがIPO申請書類を提出した後、或る欧州の若者がフェイスブックに対して「自分の個人情報がどれだけ蓄積されているか教えてほしい」という開示請求を出しました。
上場会社になるといろいろ社会的な責任とかが出るので、このような開示請求にも応じなければいけなくなるのです。
ところがこの若者に彼個人に関する1,400ページにも上る分析報告書が送られてきたことでアメリカのラジオ(NPR)はこれを面白おかしく報道していたとワイフが言っていました。(僕自身がこのラジオ・ニュースを聞いたわけではありません。)
つまり僕が言いたいことはFacebookは最初っから「うちの世界は実名の世界でっせ。だからあなたの個人情報はガンガン蒐集しまっせ」ということを公言して憚らないサイトなのです。そして誰が何回、どの「いいね」ボタンを押したかなどはすべて貴重な個人情報として蓄積され、将来のマーケティングに活用されます。
これはリアルそのものな世界であり、広告主はそこにFacebookの絶大な利用価値を感じているわけです。
だからユーザーとしては「2ちゃんねる」などの匿名のサイトとおなじノリでフェイスブックを使うととんでもないしっぺ返しを受けます。
ところでなぜこのような話を蒸し返す気になったかと言えば昨日、佐々木氏と広告業界の人たちがツイッター上でバトルになって、佐々木氏が「実名をばらすぞ」と威嚇したら、匿名で彼を批判した連中があっけなく謝罪を入れたという事件があったからです。
佐々木氏は「ヘイ・カモーン!」と雄たけびを上げていましたが、実名が出るぞと脅かされることでツイッター上の喧嘩の形勢が逆転してしまうこと自体、「リアルとバーチャルな人間関係は融和する」というある種、ユートピア的な考え方の限界を自ら示しているわけで、そこにコミカルな愉しみを感じずにはおれなかったのです。
【追記】
はてなで「Authentic identity」の訳について質問があったので書き足します。
authenticとは真正という意味で、identityは突き止められた正体の意味です。だからauthentic identityは「本人」と訳しても良いと思います。