日米両政府は6日、米国の反ダンピング(不当廉売)措置で通常よりも高い上乗せ関税を課す「ゼロイング」制度を撤廃する覚書を交わしたと発表した。撤廃を求めていた日本の主張を米国が受け入れた。日本から輸出される製品ではベアリング(軸受け)への反ダンピング関税がなくなり、ベアリング各社には計20億円程度が米国から還付される。
米国のゼロイング制度で反ダンピングの上乗せ関税が適用されていたのは日本精工やNTNなどベアリング会社。1989年以降の22年間で過剰支払いは200億円を超えるとみられる。ベアリングの関税は通常は2~9%だが、対米輸出ではこれに10%程度上乗せされてきた。ゼロイングの撤廃で上乗せ関税がなくなるほか、米国からは2010年5月以降の上乗せ関税が還付される。
日本は04年に世界貿易機関(WTO)に協議を求め、05年に提訴。WTOは07年に日本の申し立てを認めて米国にゼロイング撤廃を勧告した。ただ、米国は期限を過ぎてもゼロイングを撤廃せず、その後も日米間などで協議を重ねていた。
6日に合意した日米の覚書で米国は7日以内のゼロイング撤廃を約束した。米国は欧州連合(EU)とも同様の覚書を交わした。米国は国内雇用に配慮して撤廃に応じなかったが、日欧に加えてメキシコ、ブラジル、中国などもゼロイングを問題視し、国際的な包囲網が強まっていた。
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ベアリングで国内最大手の日本精工は「今回の合意で、対米輸出の拡大にも追い風になる」と期待する。同社は過剰な徴収関税分として、米国から数億円が還付されると見込んでいる。業界2位のNTNは「今回の決着を歓迎する。日本政府および関係団体に感謝する」(広報担当者)とコメントした。
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