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“発電事業の費用外”と指摘

2月6日 18時0分

原子力発電所のある自治体に電力会社が提供した寄付金の総額は、これまでに1600億円以上に上っていることが、各自治体への取材や情報公開請求で分かりました。
こうした寄付金は、電気料金制度の見直しを議論してきた経済産業省の有識者会議でも、「これまでのように発電事業にかかった費用として認めるべきではない」と指摘されています。

電気料金は、現在、直接発電にかかったコストに、発電所の立地自治体への寄付金や「オール電化」などの広告宣伝費なども「費用」として組み入れる、「総括原価方式」と呼ばれる方法で算出されています。
このため、寄付金は実質的に電気利用者が負担することになりますが、電力会社には相手先や金額などの詳細を明らかにする義務はありません。
こうした寄付金の在り方は、電気料金制度の見直しを議論してきた経済産業省の有識者会議でも取り上げられ、「発電事業に必要ではない」とか「費用に組み入れられてきたため、電力会社は立地自治体にどんどん寄付をしてきたが、特段の理由がないかぎり許されない」といった意見が出されました。
こうした議論を経て、有識者会議は、今月3日に示した政府への「報告書案」の中で、広告宣伝費などとともに、寄付金についても「費用として認めるべきではない」と指摘しました。
そして、費用の算定が適正に行われているか、国がすべての電力会社を対象に定期的に調査を行うことも求めました。
財政学が専門で電力業界に詳しい、大阪大学の八田達夫招聘(しょうへい)教授は、「電力会社は、かかった費用を電気料金に上乗せできるので、原子力発電を維持するための寄付や広告宣伝費に豊富にカネを使ってきた。自治体側もこうした仕組みを分かっているから、財政が苦しくなれば簡単に寄付を求めてしまうのは当然で、こうして電力会社と自治体の不透明な関係が生まれた」と指摘しています。
そのうえで、八田招聘教授は、「寄付を費用とは認めないようにすべきで、どうしても寄付が必要ならば、情報公開を求める仕組みに改める必要がある。このほかにも、電力会社の経費にムダがないか、政府が電気料金の根拠を調べ、公開する体制を作るなど、抜本的な制度の見直しが求められている」と話しています。