地震、津波、原発事故の複合災害となった東日本大震災。被災地で日々取材を続けている記者たちの思いをつづります。日本経済新聞 電子版の登録会員の方はログイン後、コメントを書き込むことができます。登録されていない方は、会員登録をお願いします。
震災後、直接の被害が少なかった日本海側や内陸から、津波に襲われた太平洋側への支援が相次ぎ、「東北はひとつ」という機運が盛り上がった。青森県も県内の太平洋岸で復興を進めるかたわら、県外からの避難者受け入れ、がれき処理肩代わりなどで岩手、宮城、福島各県への支援を続けている。
民間でも県境を越えた協力が広がった。津軽名産のリンゴを被災地に贈る団体が発足し、八戸の水産加工各社が工場を流された三陸の同業に生産ラインを提供。菓子メーカー、ラグノオささき(弘前市)は同業に呼び掛けて、東北6県から各1社が開発した新製品を詰め合わせた「みちのく州」を発売した。
ただ、「東北はひとつ」がマイナスに働いた面もあった。福島第1原発と同じ東北地方にあるというだけで、青森を含む東北全体への旅行や産品購入を敬遠する動きが一部に見られた。
福島第1原発からの距離を冷静に比較すれば、青森県を含む北東北の大半は200~300km以上離れ、首都圏や甲信越地方と変わらない。放射線量も東北だから一律に高いということはなく、汚染が深刻な地域は限られている。
青森県は原発事故の発生直後から空間放射線量や農水産物に含まれる放射性物質の有無をこまめに測定し、問題がないことを確認。三村申吾青森県知事らは日本国内だけでなく台湾、韓国、香港を回り、放射線量などが平常値と変わらないことを丁寧に説明してきた。
こうした努力の結果、国内では青森の農水産物販売や観光への風評被害は解消に向かい、台湾へのリンゴ輸出や外国人旅行者も回復しつつある。大韓航空は2011年秋に青森―ソウル便の運航を再開し、12年夏ダイヤでは週4往復に増便する。
福島第1原発に近い地域ほど、長い時間はかかるだろう。それでも事故処理と除染を着実に進め、「安全」を証明するデータを示して、消費者や旅行者が「安心」を感じてくれるエリアが少しずつでも広がっていくことを期待したい。(伊藤政光)
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