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ハンセン病

菊池恵楓園に保育所オープン 地域開放へ一歩

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保育所の園児たちと触れ合う杉野桂子さん=合志市の菊池恵楓園
 合志市の国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園内の民間保育所「かえでの森こども園」が1日、オープンした。全国に13ある国立療養所では、将来構想に基づく初めての保育所開設。入所者たちも訪れ、施設の有効活用と地域交流拠点として、大きな期待を寄せた。(鎌倉尊信)

 2009年のハンセン病問題基本法施行後、国立療養所の地域開放が可能になったことを受け、入所者らが保育所設置を要望していた。熊本市のNPO法人「ひと・学び支援センター熊本」が運営し、定員36人に対して0~3歳児9人でのスタートとなったが、同日、さらに2人の入園申し込みがあった。

 「こども園」は、旧付属看護学校(鉄骨平屋425平方メートル)を約3千万円かけて改修。保育室5部屋や調理室、入所者や地域住民が自由に出入りできる交流室などがある。

 この日は、かぜなどで欠席の2人を除く、幼児7人が登園。保育士と粘土で遊んだり、周辺の芝生を駆け回ったりしていた。松崎景子園長(58)は「園内の豊かな自然が魅力。質の高いサービスを提供し、待機児童の受け皿にもなればいい」。

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菊池恵楓園内に1日、オープンした民間保育所「かえでの森こども園」=合志市
 次男(3)と三男(2)の入園を申し込みに訪れた合志市須屋の岸昌代さん(33)は「園内に入ったのは初めて。入所者の方たちと交流し、二度とあってはならない差別の歴史や人権についても学びたい」と話していた。

●入所者に笑顔 「子どもたちの姿に和む」

 「子どもたちの姿を見るだけですごく和む。本当に待ち遠しかった」。1日、合志市の国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園にオープンした保育所「かえでの森こども園」。長い間、社会とのつながりを断ち切られた園内で生活を余儀なくされてきた入所者たちは、特別な思いでこの日を迎えた。

 開設のお祝いに「こども園」を訪ねた入所者自治会の志村康副会長は、目を輝かせて遊び回る幼児たちの姿に目を細めた。「園内施設の有効活用と、地域との本当の交流がようやく動きだした。子どもたちの大きな声が園に響くのが、何よりうれしい」

 入所者の杉野桂子さん(70)も「子どもたちは孫のような感覚。今までは閉鎖された場所だったが、子どもたちのおかげで、やっと人間社会になった気がする。保育所が長く続いてほしい」。一方で「長年ここで暮らし、自分の生活に子どもがいなかったので、どう接していいか戸惑いもある」とも漏らした。

 松崎景子園長は「子どもたちや保護者と交流できるスペースもある。いつでも遊びにいらしてください」と笑顔で語りかけた。



熊本日日新聞 2012年02月02日

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