ミナト神戸の名物バーがこの冬、相次いで姿を消した。神戸・三宮にあった「Charlie's(チャーリーズ)」と「ザ・ヴェニュー」。阪神・淡路大震災を乗り越え、ファンに愛され続けたが、2008年のリーマン・ショック後の景気低迷や円高で客足が遠のき、経営を断念。神戸と歩んだ30年の歴史に幕を閉じた。(大月美佳)
「リーマン・ショックまでは忙しかったのだが…」。チャーリー・コーセイさん(61)は神戸市中央区中山手通1の「チャーリーズ」を昨年12月31日に閉めた。
1981年に開店。チャーリーさんは、神戸で生まれ、米国人の父と中国人の母を持つ。テレビアニメ「ルパン3世」のエンディング曲などで知られ、1日3回、生演奏を披露した。外資系企業の接待などにもよく利用されたが、08年以降の売り上げ減が著しく、経営が成り立たなくなったという。
最終日は「やめる前に店を見たい」「生の歌声を聴きたい」と全国から約120人が詰めかけた。「かつての神戸は私のようなハーフが多かった。国際色豊かなにおいや色、雰囲気がなくなってきている」とチャーリーさん。今後はライブ活動に専念するという。
「チャーリーズ」そばの「ザ・ヴェニュー」も今年1月末に閉店。店主金島(かねしま)和美さんが、留学先の英国で通ったパブに憧れて82年に開店。英語が話せるママの店として、神戸港に寄港した船員や神戸在住の外国人でにぎわった。
店内にはスコットランドや英国旗、ユーゴスラビア人船長が持ち込んだ浮輪などが並ぶ。スコットランド人のバグパイプ演奏や外国人客による英会話レッスンもあった。
だが震災後の港の落ち込みや円高で外国人客はめっきり減り、客も高齢化。厳しさを増す不況が追い打ちをかけ、金島さんは「異国情緒あふれる店だった。30年も続けられたのは支援してくれた人のおかげ」と話す。
日本バーテンダー協会関西地区本部の木村義久本部長(65)は「バーは外国人が多く、ジャズ発祥の地でもある神戸の文化。表には出ない震災の傷を引きずる店もあり、長引く不況はバーのようなサービス産業には打撃が大きい」と相次ぐ閉店を惜しんだ。
(2012/02/06 15:20)
Copyright© 2011 神戸新聞社 All Rights Reserved.