JBCの今日の決断で注目すべきポイントとは
- 2011/06/28(火) 05:10:26
ボクシング業界の大混乱が、いよいよ正念場を迎える。
28日の日本ボクシングコミッション(JBC)の理事会で、様々な問題を指摘されてきた安河内剛・前事務局長に対して、調査委員会の最終調査報告に基づくが審議行われ、その処遇が決定される。
これを受け、JBC東京試合役員会も、今後の対応を決め、日本プロボクシング協会が提示した新統括団体への移行などが、現実的に動くのかどうかが決まるだろう。
そこで、今回、理事会の判断で、どこが注目点になるのかを、簡単にまとめておく。
ちなみに、前回のブログで、今回のJPBAの動きが、帝拳の本田会長の意向を強く反映していると書くと同時に、協会が関係者に対して、強いかん口令を布いているとも書いたが、その後、ある業界関係者から、こんな話が伝わってきた。
本田会長は緊急理事会で、安河内氏のキス写真の記事よりも、公務員レフェリーの問題を指摘した新聞記事を問題視していたと筆者は書いたが、その関係者は、こう補足してくれた。
「本田会長は、安河内氏や中山関西事務局が、オーストラリア人レフェリーを京都の祇園などで接待して、約20万円の費用を負担していたという話も、かなり気にしていました。なんで中立であるはずのJBCが、レフェリーの接待なんかをするのか、ということです」
この関係者は、これまで筆者との接点が薄かったのだが、協会がかん口令を布いてくれたことが思わぬ宣伝効果を生んだのか、わざわざ、筆者の知らない情報を教えてくれた。
ちなみに、この問題は、これまで一部のメディアで、その触りだけしか取り上げられていないのだが、実は今回、反安河内派が様々な抗議活動をするなかで、JBCの特別調査委員会に対して、役員会やJBC職員が合同で独自に調査した報告書を出しており、そのなかで、詳しく説明されていた。
その内容とは、2009年8月2日、大阪でOPBFのタイトル戦(日本対韓国)が行われた際にあった話だという。試合の前、オーストラリアから来日したレフェリーのB氏とその連れの女性(二人の関係は不明)を、安河内氏と中山氏が1泊2日の京都観光という形で接待し、高級料亭での飲食費などで約20万円を使い、それを経費としていたのだという。
言うまでもなく、わざわざオーストラリアからレフェリーが来るのは、日本と韓国のどちらでもない中立国であるからだが、それを日本の関係者が過度な接待をしたとすれば、競技自体の公平性を疑われても仕方のないことになり、韓国陣営にすれば、許せない話になるだろう。
今回、愛人の雇用にまつわる不正経理問題や、JBC職員へのパワハラ問題など指摘しされている安河内氏だが、この二つの問題は、背任や労働法規を遵守しないといった法的な責任を問われる話で、それゆえ、外からみても大きな焦点となっているのだろう。
だが、中立国のレフェリーを接待したという問題は、それがJBCの権限を逸脱する行為であるならば、その費用が不正な出費となるのかもしれないが、そもそもの話として、ボクシング業界を統括する立場にある人間が、業界のルールや倫理上、決して行ってはいけない行為をしたという話なのではないのだろうか。
つまり、この問題では、安河内氏という人物に、業界を統括するためのルールを遵守する姿勢や倫理観があるのかが、問われることになる。
もしも、業界関係者のなかに、安河内氏のそうした行動について「日本人を有利にするため、安河内氏は裏でがんばっていたんだ」とか、「そのくらいは、してくれてもありがたい話だろう」などと考える人たちがいるならば、外部からは、日本のボクシング界は根っこから腐っていると見られても仕方がなくなるだろう。
そして、もし調査委員会が、この接待について厳しい判断をしないとすれば、それは今回の調査委員が、ボクシングの問題を判断するのには、目が節穴の調査委員だったと、筆者は判断する。
ちなみに、話の真偽は不明で、単なる噂かもしれないのだが、筆者の耳には、こんな話も届いている。
「渦中のオーストラリア人審判が、最近、試合もないのに、なぜか日本に来ていた。それで、京都での接待について聞かれたとき、あれは自分で支払ったという話をしていたらしい」
もし、それが本当ならば、口裏合わせでもあったのか? とみられてしまうと思うのだが…。
一方、大阪の事務局で計上された、この接待に関する領収書などは、東京の調査委員会に送られているという。
このため、ある業界関係者は、「万が一、証拠が調査委員会に届いていなかったり、届いていても無視されたりしたら、私は、誰かが意図的に証拠隠滅をしたと思いますよ」と話している。
というのも、そもそも、今回の調査で大問題なのは、怪文書の告発によって騒動が起こってから、JBCが公式な調査委員会を立ち上げるまで、なぜか一ヶ月近い時間がかかっており、その間、経理の書類などを管理していたのが、明らかに安河内派と見られている職員だったことだ。
これに関しては、反安河内派が、林有厚コミッショナーらが「証拠の保全を怠った」として抗議をした部分もあるのだが、いくら調査委員会が中立で厳正であったとしても、証拠が消えてしまえば調べようがなくなった恐れもあるのだ。
さらに、筆者が注目しているのは、その経理担当の女性職員の問題である。
この女性は、かねてから安河内氏との関係が深いと、業界関係者にみられていた人物で、今回、怪文書が同様な指摘をしたことで、反安河内派は、そうした見方がされている根拠についても、様々な証言などを調査委員会に報告しているのだという。
このため、大阪の愛人に続いて、もし、この女性まで安河内氏の愛人だと認定でもされたら、それこそ大問題なのだが、もし疑わしきは罰せずという判断にでもなると、それはそれで、ややこしい問題になるのは間違いない。
安河内氏と関係が深いとみられている女性が、経理の”門番”をしているなかで、調査委員会が調査をするまで一ヶ月近くかかったのだから、反安河内派にしてみれば、「それで公正な調査ができたのか」と疑問視するのは間違いないとみられるからだ。
ちなみに今回、反安河内派が怒っている問題には、東日本大震災の当日、安河内氏が地震で混乱する現場を離れて消えてしまった職場放棄問題がある。
この時、安河内氏は経理の女性を「送ってくる」といって職場を離れ、その後、連絡不能になってしまったという。
ようやく、連絡が取れたのは午後8時過ぎというのだが、なんと、それは安河内氏本人ではなく女性職員の方で、その際、この女性職員が、安河内氏が自分の「隣にいる」と話したというのだ。
なんで安河内氏は、地震後の問題処理も放棄し、特定の女性職員だけを送らなければならなかったのか。しかも、午後8時過ぎまで一緒にいたのか。
安河内氏は27日、メディアに対して、「不正な経理は100%ない」と断言してみせたが、なぜそんなことを言い切れるのだろうか・・・。
一方、大阪の愛人に関しては、路上キスの写真だけでなく、一晩、女性の自宅で過ごした証拠もある。
前にも書いたが、一晩をともにしキスまでしている女性について、弁護士が介在している調査で、「愛人だった」と認定されないとすれば、それは日本の、いや世界の離婚裁判などの常識とは、かけ離れた判断になってしまう。
そして、その愛人が、今年3月に大阪の事務局に入社する前、彼女が学生でキャバクラでアルバイトしていた時代に、なぜか、安河内氏らは、JBC関係者3人と彼女も含めた4人で、ふぐ料理を食べ、その費用1万7000円余りを、JBCの経費として処理していた。
キス写真について、相手が帰国子女なので「普通の行為だった」などと釈明しているという安河内氏なだけに、この経費も、英語が堪能な女性を「青田買するためだった」などと言いそうだが、百歩譲ってそうだったとしても、ならばなぜ、当日の参加者を堂々と4人と報告せず、3人と偽ったのか。
また、筆者が気になるのは、愛人の“お手当て”だ。
この女性は、3月20日付けで雇用され、問題の発覚後、“自主的に退職した”という。
もし、その間の給与が支払われていたら、それは公私混同による”お手当て”とも考えられ、横領や背任行為になるのではないのか。いや、支払われていなくとも、横領や背任の未遂になるのではないだろうか。
そうなると、不正経理は1万7000円余りだけではない話にもなる。
調査委員会は、そうした部分を、どう判断するのだろうか。
一方、27日の安河内氏は、パワハラ問題に関して、“被害者”の「感情を汲みとってやれず、申し訳ないことをした」などと話していた。
つまり、自らパワハラととられかねない行為をしていたことを認めたワケだ。とはいえ、そのパワハラの詳細は、まだ一部しか報道されていない。
実は、安河内氏は、しばらく前から東京にいる職員の一部に対して、正規の雇用から契約社員に切り替えようとしていた。
JBC関係者によれば、安河内氏は、JBCの応接室に気に入らない職員を呼つけ、契約社員になるよう説得し、言うこと聞かないと、時に、その応接室から職員を罵倒する声が外まで鳴り響いていたという。
長年勤めてきた職員を罵倒し、契約社員になるよう迫る一方、身近な特定の女性職員を優遇し、さらに自分の愛人を正規の社員として雇用した安河内氏・・・。
もし今日の理事会が、そんな人物の管理者としての能力を認め、今後もJBCにい続けることを認めるのならば、反安河内派の人々がJBCを離れるのは間違いないだろう。
ところで、今日のJBCが、どんな処分を下すのか、筆者の耳には、業界関係者から、こんな噂も入ってきている。
「とりあえず安河内氏をJBCからは外すが、OPBF事務局の専属にして、業界には残すという案があるらしい」
しばらく前から日本はOPBFの議長国となり、安河内氏が議長を務めてきた。そして、前出のオーストラリア人のレフェリーB氏は、OPBFのタイトル戦などが日本で行われるとき、別のレフェリーもいるなかで、なぜか頻繁に来日しており、それで安河内氏と懇意になったとみられている。
実は、このOPBF事務局の運営についても、かねてから業界内で疑問視する声があり、ある中堅ジムの会長は、こう話していた。
「たとえば、安河内氏が海外で行われるOPBFのタイトル戦に、スーパーバイザーなどとして出席した際の経費や報酬は、どんな形で処理されているのか。JBCは一応、会計報告を行っているが、OPBFに関するお金の処理は外からはまったく見えないんですよね」
今回、調査委員会が、OPBFの問題まで調査した形跡はいまのところ見えない。というより、おそらく、そこまでの調査はされていないとみられる。
それで、もしも噂通りに、安河内氏がOPBF事務局の専属などになるとなれば、それは、JBC以上に外部から目の届かない伏魔殿に、安河内氏を避難させる行為にみえるのは、筆者だけだろうか・・・。
このほかにも、筆者としては、調査の結果で注目している部分は多々あるのだが、それは、多すぎてとても書き切れない。反対に気になるは、今回、調査結果が、どこまで公表されるのかという部分だ。
ところで、27日の報道で、安河内氏が、実は4月20日の段階で、斎藤専務理事に「進退伺」を出していたことが分かり、安河内氏本人も「どんなことでも受け入れる覚悟はある」と殊勝な言葉を口にしていた。
でも、それは真実や本心なのだろうか?
キス写真を含む怪文書がJBCに届いたのは、4月18日で、20日の段階では、まだ外部に報道などされていなかった。
怪文書は、愛人にまつわる不正な経理などについて告発していたが、もし、大阪の職員が愛人ではなく、「不正な経理は100%ない」のであれば、なぜ安河内氏は「進退伺」など出したのか。
もし別の会社で、”怪文書”による”虚偽の告発”だけで「進退伺い」を出し、その後、正式な処分が出るまで、自主的に休職する形で、しばらく職場を放棄してしまう管理者がいたら、筆者は逆に、そんな管理者など信用できないと思う。
しかも、安河内氏は、最近になって”怪文書”による名誉毀損があったと「被害届」まで出している。やはり、告発が名誉毀損の虚偽であれば、「進退伺」など出す必要はないはずだが・・・。
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この記事に対するコメント
無題
お邪魔します、時折コメントさせていただいている者です。
確かに、「気まぐれ」とついているのに、書いて欲しいと思ってしまうのは、趣旨に反しますね、失礼しました(^^;)
今日、玉虫色の結論が出たようですね。
今の民主党と本当にそっくりで、あの不信任案否決の茶番と本当に似通っていて、色んな意味で暗い気持ちになります。
これほど人事が荒れていても、コミッションのホームページはまるで何事もないかのように通常の更新しかされていないところは、かえって不気味ですね。
悲しいかな、世間の関心も、高いとはいえず。
又お邪魔させていただきます。
大変暑いので、ご自愛ください。
ありがとうございます
毎度、コメントありがとうございます。
後のブログにも書きましたが、筆者もこの茶番劇に納得などしておりません。
処々の事情で、やはり気まぐれな更新になりますが、引き続き、読んでいただければうれしいです。