日本のボクシング界の混乱が止まらない。
- 2011/05/28(土) 01:02:51
日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛事務局長に醜聞が噴出した問題で、JBCは、安河内氏を1ヶ月の停職処分とした一方、特別調査委員会を設置し、不正経理疑惑などの調査を行っている。
だが、JBCのレフェリーら反安河内勢力は、停職1ヶ月を「軽すぎる」と見ており、調査が中途半端な形で終了した場合には、ボクシング興業への協力を「ボイコットする」可能性があるようなのだ。
もし、本当にボイコットが実施されると首都圏、いや東日本での興業は、ほぼ開催不可能になるとみられる。
ただ、いまだ業界は前代未聞の危機ともいえそうな、この状況を正しく認識していないようだ。
16日に行われた東日本ボクシング協会の理事会には、JBCの斉藤専務理事が出席し、業界にばらかまれた“怪文章”によってはじまった今回の騒動について、理事らにJBCの対応を説明した。
その際、斉藤専務理事は、一連の出来事を業界内の不満分子による、ちょっとした騒ぎで、大きな問題ではないという主旨の説明を行ったという。
斉藤氏はその後、メディアの取材にも答えるなかで、なぜか安河内氏の不正経理疑惑について、独自に6回も行ったという調査で「不正はなかった」と断定した。
だが、現実はJBCに特別調査委員会が設置されており、その委員会の調査は終了するまでは、シロもクロもないはずだ。
一方、一部のスポーツ紙は、安河内氏の愛人問題などまったく触れず、なぜか斉藤氏のシロ判定を強調して報道し、特別委員会による調査は、財政健全化のために行われるという主旨を伝えている。
また、一部のスポーツ紙は、安河内氏が停職となった理由について、斉藤専務理事の「スポーツの体面を汚したので休職とした」という発言を報じたり、安河内氏について「私生活上の倫理的問題も指摘されている」などと報じてはいる。
だが、安河内氏が自分の愛人を大阪の事務所に雇用した問題は、単にスポーツの体面を汚したという話ではなく、JBCの“公費”を使って愛人を雇用したわけで、単なる私生活上の倫理的な問題でもないだろう。
実際、大阪の愛人と指摘された女性は、3月に雇用されたのに、この問題が浮上したことで、すでに解任されている。
斉藤専務理事は、16日の協会の理事会に出席するに当たって、大橋秀行会長宛てにした説明文のような書面を提出している。
この文章で斉藤専務理事は、業界関係者やボクシングファンに「多大なるご心労とご迷惑をお掛けしたことを心より陳謝申し上げます」などと謝罪をしてはいる。
だが、その直後から、これまでのJBCの活動や、その実績を並べたてたうえで、そうした活動ができたのは「現JBC本部事務局長が推進者としてその中核をなしていることは言うまでもありません」などと綴っている。
また、斉藤氏は、安河内氏の停職処分は、林有厚コミッショナーの示達によって行われたことを明らかにもしている。
前回のブログで、筆者は林コミッショナーを直撃し、その責任を問うた。それがきっかけになったのかは不明だが、どうやら、その後、林コミッショナーは重い腰を上げたようだ。
その結果、特別調査委員会には、もともとJBCの理事だった元仙台高等検察庁検事長の俵谷利幸理事らのほか、外部の弁護士二人なども参加して、今回、表面化した安河内氏を巡る様々な疑惑について、厳正な調査が行われることにもなったとみられる。
なのになぜ、斉藤専務理事は、調査の結果も待たず、業界やメディアに対して、安河内氏の功績を強調したり、不正経理はなかったなどと断言するのだろうか…。
あるJBC関係者によれば、斉藤専務理事は、自分もオブザーバーとして調査委員会に参加を希望したが、関係者の反発を受けて参加できなかったという。
そして、調査委員会には、JBC東京試合役員会の浦谷伸彰会長から、職員や役員の有志が行った独自の調査をまとめた報告書が提出されている。
その内容は、単に愛人の雇用に関する経理的な不正などを指摘するだけでなく、職員に対するパワハラ問題など様々な事例が提示されており、「かなり凄い内容になっている」(JBC関係者)という。
このため、JBCに関係する反安河内勢では、万が一、調査委員会の調査結果が中途半端なものとなり、安河内氏が停職後に復職するような事態になった場合には、以後のボクシング興業への協力を一切ボイコットすることが検討されているというのだ。
16日の協会の理事会では、万が一、東日本のレフェリーがボイコットした場合は、関西などから呼んで試合をすることなども検討されたようだ。
だが、ある中堅ジムの会長は、「東と西とではレフェリーの技量も違うし、興業はレフェリーだけがいればできるわけじゃない。もし、JBCが機能していない状態で試合などできるのか。選手の安全を守る立場でいえば、中途半端な体制で興業などできない」と話している。
一方、業界内には、JBCの調査とは別に、協会でも独自にこの問題の調査などして、今後の対応を決める一助にしようという意見もあるようなのだが、「なぜか大橋会長の腰が重いようだ」(中堅ジム会長)という話もある。
もし、協会や会員の多くが、今の状況を正確に把握しない状態のまま、いきなりボイコットが実施されたら、いったい、どういうことになるのか…。
調査委員会の調査結果は、早ければ今月中、遅くとも安河内氏の停職が終わる6月10日の前までには出されるとみられているが、果たして、どんな結果となるのか。
ボクシング界がフリーズするような事態にならなければ良いのだが…。
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秘密のコメント
ブログ管理人への秘密コメントです
ありがとうございます
丁寧なコメントをいただき、ありがとうございます。
復帰
お邪魔いたします。
私自身はただのいちファンに過ぎませんが、ボクシングに関わっている友人がいます。
命がけで、ボクシングに取り組んでいます。
今回の騒動については、私は素人なので詳しいことはよく分からないのですが、組織のトップと、独特すぎる組織そのものに苦しめられているというのは、何となく分かります。
ですが、この問題自体が取り上げられておらず、
一般紙はもちろん、ボクシング雑誌でさえ取り上げられた形跡もありません。
唯一声を上げているのが、拳論という夕刊フジの記者さんのブログですが、
世論になるほどの大きさではない、それはボクシングという競技の特性によるものかも知れませんが…。
今日、事務局長が復帰するというのを耳にし、
何となくうやむやのままこの件が終わらないよう、是非これからも追って頂きたいと思います。
突然失礼いたしました。
ありがとうございます
コメントありがとうございます。
私もうやむやは納得いかないので、できる限りのことはするつもりです。