水平社博物館の準備書面です
川東です、現在、水平社博物館から損害賠償請求の裁判を起されております。
原則として、川東大了の個人の裁判であり、在特会とは関係のない裁判でありますが、コリアに関する歴史捏造を糾す行為が事件とされた事もあり、ブログにて報告させて頂く事にしました。
まず、以前に訴状を「相手の弁護士に了解を取ってから掲載する」と書きましたが、前回の裁判の際に「訴状を公開しても良いですか？」と聞いたら
「そんな事は自分で考えろ。」「良いとも、駄目とも言う立場ではない」と返答されました。
裁判は原則公開であり、訴状は誰でも見れるものであります。
なので、個人情報（特定の人物の氏名・住所など）の保護はあるにせよ、訴状を掲載する事に問題はありません。
が、相手が「良い」と言ったら、掲載すると書いてしまった以上、相手が「良い」と言わなかったので、掲載しない事にします。
ですが、現在、以下のところで訴状がアップロードされているようです。
私に届いた訴状と、ざっと比較しましたが、間違いなく、水平社博物館からの訴状と思います。
http://team-kansai.sakura.ne.jp/scheduler/scheduler.cgi?mode=view&no=340
ここで、水平社博物館の訴状が閲覧出来ます。
それに対する、私の準備書面（１）は、以前にこのブログに掲載しました。
http://www.zaitokukai.info/modules/wordpress/index.php?p=368
http://www.zaitokukai.info/modules/wordpress/index.php?p=369
そして、今回２月３日に水平社博物館側から、第１準備書面が届きましたので、掲載します。
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平成２３年（ワ）第６８６号 慰謝料請求事件
原 告 財団法人水平社博物館
被 告 川 東 大 了
第１準備書面
２０１２年２月３日
奈良地方裁判所 殿
原告訴訟代理人弁護士 古川 雅郎
同 内橋 裕和
本準備書面は、被告の平成２３年１２月１６日付け準備書面（１）に対し、本件審理に必要な限りにおいて反論をなすものである。
記
第１ 被告の本件発言が極めて強い違法性を持つことについて
1. はじめに
被告は、上記準備書面において、当時水平社博物館が行っていた日本軍「慰安婦」問題に関する展示について、「性風俗産業への偏見に満ちた職業差別」（４ページ）であると主張し、自らの発言はそのような差別行為を糾すために行ったものであるとして、あたかもその社会的相当性を主張するかのようである。また、本件発言の発端のひとつとして、当時水平社博物館が明成皇后（閔妃）暗殺事件に関して行った展示について多数派の意見との並列表記にすべき旨申し入れたところ、退館させられるという不当な扱いを受けたことがある旨主張するようでもある。
しかし、そのような主張は詭弁でしかない。被告の本件発言は、韓国・朝鮮人に対する強い差別意識を背景に、上記のような展示を行う水平社博物館に対しても極めて強い差別意識をむき出しにしたものというべきである。すなわち、被告が被差別部落に対して有する差別性と女性に対して持っている差別性、そして在日韓国・朝鮮人に対して持っている差別性には、自ずから通底するものがあるのである。
そこに、本件発言が表現の自由として保護されるべき正当な目的は何ら存しない。本件発言は極めて強い違法性を有するものとして、厳しく断罪されるべきである。
したがって、この点を論ずるにつき、被告自身が本件発言や上記準備書面において主張している日本軍「慰安婦」問題等に関する主張の当否についても、軽々に無視することはできない。よって、以下、�，修發修眇緤深卩酳�館の展示・解説文が全く差別にはあたらないこと（上記展示内容に関する原告の現時点における認識とその点に関する被告の主張に対する批判）を述べたうえ、��被告は具体的展示を実際に見学する前から本件発言（街宣活動）を予定していたことを指摘する。これにより、被告の本件発言に際しての差別意識が明確に表れると考える。
2. 水平社博物館の展示・解説文が差別にはあたらないこと
（１）２０１１年１月５日、水平社博物館が同館内における企画展「コリアと日本−韓国併合から１００年−」の中で明成皇后（閔妃）暗殺事件に関して行った展示・解説文（甲４）は、本件訴状でも既に述べているところではあるが、具体的には以下のようなものである。
「朝鮮でロシア勢力が拡大すると、１８９５年１０月、日本はその中心だった明成皇后（閔妃）を殺害しました。この蛮行に対し朝鮮では反日義兵闘争が展開され、国王高宗は１８９７年に国号を大韓帝国と改め、日本の侵略に抗しました。」
これに対し、被告は、明成皇后殺害の主体を日本としていることについて、上記準備書面３ページにおいて、「「ミンピの殺害についての記述についてですが、確かに日本が殺害したとする説はあるものの、歴史資料等によって証明されておらず、今では少数意見の一つとされており、それを事実かの如く記述するのは問題があると思います。少数派の見解である以上、それを紹介するのなら、多数派の意見との並列表記にするべきだ」との趣旨で申入れを行っただけ」と主張するが、失当である。
明成皇后殺害については、これを日本によるものとするのが現在の日本史学会の定説（甲５）であり、水平社博物館もこれに沿って上記展示を行ったものである。したがって、このような展示に何ら問題があるわけではなく、むしろ、被告においてこれをあえて云々したのは、被告自身の差別意識に基づくものであることが、本件発言において被告がこの点に言及した部分（甲３の２ページ以降）の口調からもみてとれる。
したがって、１月５日に抗議をしてきた被告に対し、施設管理権に基づき退館を求めた水平社博物館の対応も何ら問題とされるべきものでもない。よって、被告の本件発言が、このような経緯の存在によって社会的に正当化されるはずもない。
（２）次に、同企画展の中で水平社博物館が日本軍「慰安婦」問題に関して行った展示・解説文（甲６）は、具体的には以下のようなものである。
「強制連行された女性のなかには「慰安婦」＝性奴隷として、軍隊に従属させられ性的奉仕を強いられた人もいました。「慰安所」は戦争の拡大により、中国大陸からフィリピン、インドネシアなど各地に設置されました。この問題について日本政府は１９９２年７月、軍の関与があったことを認めましたが、国家補償に応じようとはしていません。」
これに対し、被告は、「「慰安婦」＝性奴隷」と記載した点について、職業差別である云々と主張するが、水平社博物館は現在の国際的認識及び日本史学会の定説としてその旨展示解説文としたのであり、その歴史認識はむしろ一般的なものである。
すなわち、１９９６年１月に調査代表者ラディカ・クラマスワミにより国連人権委員会に対し特別報告されたいわゆる「クマラスワミ報告」（甲７）は、いわゆる「慰安婦」は「明確に性奴隷制でありかつ奴隷に似たやり方であるという意見に立つものである。」と明言している。
また、１９９８年８月に国連人権委員会差別防止・少数者保護小委員会で採択されたいわゆる「マクドゥーガル報告書」（甲８）でも、「１９３２年から第二次世界大戦が終わるまで、日本政府と日本帝国軍は２０万以上のアジア女性を強制的にアジア各地のレイプセンターの性奴隷とした。」、いわゆる「慰安婦」は民間で経営されていた売春宿で「働いて」いたのだとする日本政府の一貫した主張に反して、その多くは当時まだ子どもだった女性たちが、実際に日本軍によって直接、ないし日本軍の全面的な理解と支援を得て、レイプセンターの奴隷にされていたことをはっきりと示している。」等と認定されている。
日本政府においても、１９９３年８月４日の河野洋平内閣官房長官（当時）談話（甲９）として、「慰安婦」は「甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに荷担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。」、「その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多くの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。」との認識を表明しており、その後、このような認識を前提に、１９９５年７月にもと「慰安婦」の方々に対する償いの事業等を行うことを目的として設立された財団法人「女性のためのアジア平和国民基金」に対し、その運営経費の全額を負担するなど、事業運営について必要な協力を行ってきているところである。
その他、同様の認識を示す文献は枚挙に暇がない。
したがって、被告の主張は、自らの差別意識を糊塗する詭弁にすぎない。
被告は、上記準備書面において、「私は「誤った歴史認識の流布によって、差別が惹起され拡大される」と訴えかけているのであるから、「誤った歴史認識」を否定するならば、特別企画展での展示内容が正しいとする証明をしていただきたい」（１１ページ）というが、この点に関する原告の回答は上記のとおりである。
むしろ、被告の主張が、それ自体、女性及び韓国・朝鮮人に対する差別意識に基づくものであること、いうまでもない。
3. 被告が当初から街宣活動を予定していたこと
この点に関して、被告は、上記準備書面において、あたかも水平社博物館が当時行っていた日本軍「慰安婦」問題に関する展示を見学し、その内容に疑問を感じたので、これに対する意見表明として本件街宣活動を行ったかのように主張するが、全く事実に沿わない。
なぜなら、被告は、先に訴状でも触れたとおり、２０１１年１月５日、水平社博物館に来館する前に予め高田警察署に立ち寄り、同月２２日に街宣活動を行うことの許可を求めているのである。すなわち、その時点において既に本件発言のような内容の街宣活動を行うことを予定していたのである。
この点からも、被告の本件発言が、水平社博物館の展示に対する意見表明というものではなく、当初から韓国・朝鮮人及び被差別部落出身者に対する差別意識を露わにし、挑発する目的で予定されていたものだということが明白である。
4. 本件発言が何らの社会的相当性を持ち得ないこと
被告は、上記準備書面において、「「穢多」「非人」なる文言は歴史上の身分制度として存在した階級を指すものであり、水平社博物館の中でも「穢多」「非人」なる文言は使用されております。」（４ページ）、「水平社博物館にて「吾々がエタである事を誇り得る時が来たのだ。」の文言を見ておりましたので、このように自ら「エタ」を自称する人間がいるのではないかと思っておりました．．．結論から言いますと誰も出てこなかったので、私は「やっぱり、穢多・非人はいないのだな」と思いました。」（５ページ）、「穢多と呼ばれて怒るのは、穢多に対して蔑む気持ちがあるからではないでしょうか」（７ページ）等と縷々述べ、あたかも本件発言の際に自身に差別意識がなくしたがってそのような発言が社会的に正当化されるかのように主張するが、これまた詭弁である。本件は記載する必要もないはずの事柄であるが、あえて明確に反論しておこう。
「穢多」「非人」という言葉が被差別部落出身者に対する差別のために用いられてきたことは現在に至るまでの歴史の中における厳然たる事実である。そして、そのような心ない言葉を投げつけられた被差別部落出身者が、強い憤慨を抱き、また屈辱感を受け、ときには死を選んだことさえあることも歴史的事実である。本件発言とて、聞くに耐えない繰り返し繰り返し発言されし「ドエッタ」等の罵詈雑言を加えての街宣行為であり、直情的抗議に表れてトラブルが起こったとしても不思議ではない。しかし、地元住民や水平社博物館関係者の理性によってこの行為に耐え忍んだのである。
すなわち、「穢多」「非人」という言葉は、反差別の観点・文脈において用いられるときのみその使用が社会的に許されるにすぎず、それ以外は差別意識の不可分の言葉としてその使用が許容されるべきではない。
しかし、被告はそのような事実を知りつつ、意図的に「穢多」「非人」という言葉を用いて、水平社博物館の目前で、本件発言をしたのであり、それが被差別部落出身者に対する差別意識を明らかにしてこれを傷つけようとしたものであることは、本件発言内容及びその際の被告の態度（被告は、「ドエッタ」、「エッタども」、「お前ら人間なのかほんとうに」、「穢れた穢れた卑しい連中」等と発言している。）からも明白である。さらには、被告は、本件発言の様子を録画した動画をインターネット上の動画投稿サイト「Youtube」（ユーチューブ）にアップロードして広く市民一般が視聴できる状態に置いている（このことは、被告自身、上記準備書面１０ページにおいて認めている。なお、この動画は、現在も同サイトにおいて視聴可能である。http://www.youtube.com/watch?=LPODTLYYST0等合計３本。）。すなわち、被告は、直接的な挑発にとどまらず、自らの差別意識を誇示し社会一般に流布することを当初より意図して（いや、むしろ、こちらの方が主たる意図であろう。）、事前の計画のもとに本件発言を行っている。このような事実のもとでは、被告の上記「主張」は、愚にもつかない言い逃れでしかない。
なお、被告は、上記準備書面において、部落差別撤廃・解放運動における糾弾行為についても触れるが、糾弾行動の歴史的・社会的に果たしてきた役割については、例えば八鹿高校事件高裁判決（甲１０）においても触れられているように、一定の社会的評価が形成されている。あるいは、仮に糾弾行動の中に何らかの社会的逸脱行為がごく一部あったとしても、いうまでもないことであるが、それをもって被告の本件発言が社会的相当性を有するということにはならない。
5. まとめ
いずれにせよ、被告が本件発言に際し被差別部落出身者に対する強い差別意識のもとにこれを行ったであろうことは、先に指摘したような各事情からすれば多言を要しない。
その他、上記準備書面において被告が縷々述べるところは、本件審理に無関係な自説を振り回すものにすぎないから、そもそも言及に値しない。
第２ 損害論について（は、まだ文字おこしをしてませんので、後日、掲載します。）
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