大分県日出町のスーパー駐車場から江本琴音ちゃん(当時2歳10カ月)が行方不明になった事件から約5カ月。大分県警は5日、母優子容疑者(35)を死体遺棄容疑で逮捕した。優子容疑者は買い物をしていた間に琴音ちゃんがいなくなったと話したが、その時間はわずか3分。琴音ちゃんは足が不自由だったこともあり、優子容疑者の話は当初から疑問視されていた。母娘の間に何があったのか。大分県警は町内で見つかった白骨遺体を詳しく調べ、当時の経緯を追及する。
優子容疑者は会社員の夫と小学校1年生の長男、琴音ちゃんとの4人暮らしだった。同県国東市の実家近くに暮らしていたが、4、5年前に日出町に引っ越してきた。一帯はここ10年の間にできた閑静な住宅街で、一家はあまり近所付き合いがなかったという。
関係者によると、長男は情緒障害があり、琴音ちゃんは脚の筋肉の発達が不十分で、一人で長時間歩くことは困難だった。近所の人によると、優子容疑者は琴音ちゃんについて「発育が遅れている」と悩んでいる様子だったという。
「信じられない」。周辺の住民らは優子容疑者逮捕の一報に驚き、戸惑った。
50代の女性は「『生きて帰ってきてほしい』『早く犯人が見つかってほしい』と願っていたが、最悪の結果。すごいショックだ。育児に疲れたのなら祖父母に面倒を見てもらうようなことはできなかったのだろうか」と話した。近くの別の女性は「母親がそんなことをするのか。何と言ったらいいのか分からない」。60代の主婦は「びっくりしている。事情は分からないが、同じ母親として悲しい」と肩を落とした。80代の女性は「驚きを通り越して、なぜそうなったのか理解できないし、本当にむごい」と絶句した。
現地を取材したジャーナリストの大谷昭宏さんは「優子容疑者は缶コーヒーを買うためにわざわざスーパーに立ち寄ったり、防犯カメラの有無を店員に聞くなど現場の状況や行動に不自然な点があった。琴音ちゃんの足が不自由なことを悲観し育児ノイローゼになっていたのか。悲しい結果だが、今後の捜査や裁判で動機や背景を解明してほしい」と話した。
毎日新聞 2012年2月6日 0時27分(最終更新 2月6日 1時02分)