安井正也

February 05, 2012

毎日jp --核燃料コスト隠蔽:聴取せず調査終了 経産省の職員証言 2012年2月5日

核燃料コスト隠蔽:聴取せず調査終了 経産省の職員証言 2012年2月5日 2時35分(最終更新 2月5日 3時06分)

 経済産業省の安井正也官房審議官が04年、使用済み核燃料を再処理せずそのまま捨てる「直接処分」のコスト試算の隠蔽(いんぺい)を指示した問題で、当時の内部調査で事情を聴かれたとされる25人のうち2人が取材に対し「事情聴取を受けずにいきなり処分された」と証言した。真相解明すべきなのに、ずさんな調査で早期幕引きを図った疑いがある。しかし、経産省は「既に徹底的な調査をした」として再調査しない方針で、隠蔽体質の根深さが浮かび上がった。【核燃サイクル取材班】

 直接処分のコスト試算を巡っては、04年3月、参院予算委員会で社民党の福島瑞穂党首が「再処理しない場合のコストはいくらか」と質問し、経産省資源エネルギー庁の日下一正長官(当時)が「コスト試算はない」と答弁した。しかし同7月、直接処分の方が安価であるとの試算の存在をマスコミが一斉に報じたため経産省が職員25人を事情聴取し、同8月までに安井氏を含む計13人を処分(厳重注意など)した。

 この際、経産省側は「(安井氏らが)試算の存在を知ったのはマスコミの取材を受けた7月。(部下が)報告したのにとどまった(隠した)ということもなく悪質ではない」と説明した。

 しかし毎日新聞の報道で、実際は同4月、部下から試算の存在について報告を受けたエネ庁原子力政策課長(当時)の安井氏が「見えないところに置くように」と指示したことが判明している。当時の内部調査について、25人のうち1人は「夏休みに那須高原(栃木県)にキャンプに行っていたら携帯に電話があり、呼び戻され処分された。聴取は受けていない」、もう1人も「発覚当時海外にいた。帰国したらすぐ処分された。聴取された記憶はない」と話した。また聴取を受けた職員も「7月中旬に1回、30分程度。『試算の存在を知っていたか』など簡単な内容で真相を突き止めようという感じではなかった」と証言した。

 当時の中川昭一経産相は記者会見で「多くの人に1人1時間以上かけて(聴取した)」と強調した。枝野幸男経産相はこれを踏まえ1月6日の閣議後の記者会見で「徹底的な調査と処分が行われている」と語った。

 ◇「再処理へ力ずく」政府審議会メンバー怒り

 使用済み核燃料を直接処分する際のコスト試算の隠蔽問題が広がりを見せ始めた。04年当時「再処理継続か、直接処分に政策転換か」について論議していた国の審議会メンバーからは怒りの声が上がり、社民党の福島瑞穂党首は再調査や経済産業省の安井正也官房審議官の更迭を求め、国会質問を行う予定だ。

 経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」は、直接処分のコスト試算は存在しないという前提で審議を重ね、同6月、青森県六ケ所村の再処理工場稼働に伴う費用約19兆円を国民が負担する制度を取りまとめた。

 分科会の委員だった八田達夫・大阪大招聘(しょうへい)教授(公共経済学)は「(試算がないなんて)おかしいと思ったが、力ずくでやってしまうんだなという雰囲気だった」と振り返り、「再調査すべきだ。その間、少なくとも安井氏を(原子力安全規制改革担当審議官から)外すべきだ」と批判した。

 分科会に委員を送っていた日本生活協同組合連合会の小熊(おぐま)竹彦政策企画部長も「直接処分のコストの方が安いことが分かると、19兆円を負担させる制度導入に支障が出るから故意に隠したのではないか。経産省には説明責任がある。けじめをつけないと同じことが繰り返されかねない」と話す。



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January 07, 2012

JB PRESS --“グル”の構造を破り、民主的な原発議論を 見せかけの民主的プロセスが日本を蝕む 川井 龍介 2012.01.07

“グル”の構造を破り、民主的な原発議論を 見せかけの民主的プロセスが日本を蝕む 川井 龍介 2012.01.07

元旦の新聞紙面を見比べると、原発関係の2つの大きなニュースが目を引いた。ともに一連の日本の原子力政策のプロセスに疑問を投げかける結果となっている。

 朝日新聞は1面のトップで「安全委24人に8500万円 06〜10年度寄付 原子力業界から」という見出しで、原子力安全委員会の委員が原子力業界から寄付を受けていた事実を報じた。

 同委員会は、福島第一原発の事故後、組織のあり方が問われてきたが、内閣府に所属し本来は中立的立ち場で行政機関や電力事業者を指導する役割を担う。

 記事は朝日新聞の独自調査の結果として、この安全委員会の安全委員と非常勤の審査委員89人のうち、班目春樹委員長を含む24人が2010年度までの5年間に、原子力関連の企業・業界団体から計約8500万円の寄付を受け、このうち11人は原発メーカーや審査対象となる電力会社などからも受け取っていたことを明らかにしている。

 寄付をした企業、業界団体を見ると、安全委員会の審査対象企業としては北海道電力ほか数社、原発メーカーでは三菱重工業や日立GEニュークリア・エナジー、このほか社団法人日本原子力産業協会や電力会社、原発メーカーの関連企業などとなっている。

 寄付は研究助成の名目で行われるが使途についての報告義務はない。寄付する側は、寄付による委員への影響力を否定、また安全委員会事務局では、「審査する事業者と直接的な関係のある委員は審査メンバーにならないようにしてきた」と説明している。

 一方寄付を受けた委員も寄付の審査への影響を否定しているが、取材に対して「多忙につき答えられない」など、事の重要性を理解していないと思われても仕方のない委員もいる。

 こうした事実について、記事は「原発審査 曇る中立性」(社会面)と書いているが、同じような疑念を抱く人は少なくないはずだ。個々の原発審査とは関係がなくても原発計画そのものについての議論と個々の事例は切り離すことはできない点からも関連ありと考えられるのは言うまでもない。

公正・公平さを欠いた政策決定

 毎日新聞は、同じく元日の1面トップで「核燃直接処分コスト隠蔽 エネ庁課長04年指示 現経産審議官 再処理策を維持」という見出しで、使用済み核燃料の直接処分のコスト試算が隠蔽されていたことを明らかにしている。

 国が進める使用済み核燃料の再処理については、その是非について議論があり、直接処分のコストが再処理より安価であることが判明すれば、国策である再処理に影響が出ると考えられるという背景が事の重要性を示している。

 記事によれば、使用済み核燃料をそのまま捨てる直接処分のコスト試算を通産省(当時)から委託された財団法人「原子力環境整備センター」(現原子力環境整備促進・資金管理センター)は、1998年にその額を4兆2000億から6兆1000億円と算定した。この額は、青森県六ヶ所村の再処理工場の稼働で生じる費用約19兆円の4分の1から3分の1以下となる。

 毎日新聞は04年4月20付の経産省関係者のメモを入手。ここには当時の資源エネルギー庁原子力政策課長の安井正也氏(現・経済産業省官房審議官)が、試算の存在を伝えた部下に対して、このことを世の中の目に触れさせないようにという厳命を下したことが記されている。

 この部下は試算を目立たないようにしたことを認めている。2カ月後、経産相の諮問機関である「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」は約19兆円を電気料金に上乗せする新制度の導入案をまとめた。安井氏は取材に対して試算についての隠蔽指示の記憶はないと否定しているという。

 同紙は、隠蔽問題に絡んで、「(安井氏が)現在、東京電力福島原発事故後の安全確保策作りを進める『原子力安全規制改革担当審議官』という要職を務める点でも問題は深刻だ」などとし、経産省の姿勢を問うている。

 核燃料の再処理の是非という重大な問題に直結しているにもかかわらず、政策決定が公平・公正さを欠いていることを記事は示している。

 また、こうした事実は結果として反原発の議論を後押しすることにもなるが、原発を維持・推進すべきか否かという議論以前の段階(議論のもととなる資料やデータの分析など)で、公正な手続きが行われていないことが分かる。
緊張感のない、馴れ合いの仕組み

 これまでにも、国と電力会社が進める原発政策については、住民参加の公聴会をはじめそのプロセスにおいて、「はじめに建設・推進ありき」で、とても公平、公正とは言えなかったことを我々は知っている。

 制度自体が推進に有利であったり、政策決定においても推進に有利な材料を意図的に採用したり、逆に否定的な意見やデータなどを封じ込めてきたという事実はいくつも明らかになっている。

 九州電力が玄海原発の再稼働をめぐって行った「やらせメール」がいい例である。これは九電に限ったことではないし、原発建設が始まったころからの公開ヒアリングなどでもさんざん行われてきたことである。

 最近ではこんな事実も発覚している。

 原発関連施設について法律で定められた検査を行う「原子力安全基盤機構」なる独立行政法人が、検査対象となる事業者にあらかじめ検査内容の原案を作成させ、それを丸写しした資料をもとに検査をしているという事実だ(毎日新聞、2011年11月2日)。これもまた原発の是非を議論する以前の基本的な手続きの公正さに関わる問題である。

 こうした緊張感のない馴れ合いの仕組みは、先月26日に公表された、福島第一原発事故についての政府の事故調査・検証委員会の中間報告書でも改めて批判されている。

 電力業界との馴れ合いをこれまで批判されてきた経産省原子力安全・保安院について、事故後の対応が東電からの情報に受け身であり、積極的な情報収集の姿勢も能力も欠落していたことを示している。

利害を共有するものたちが政策を進める

 国と電力会社の馴れ合い体質や、原発行政における適正な批判が欠落した主たる理由は、原発について「推進」という点でともに利害が一致しているからにほかならない。さらに学者やメディアもこの同じ利害関係のなかに組み込まれてきた。

 原発が政治的権力と深い関係を結んできたことは以前、山岡淳一郎氏の著作『原発と権力』(ちくま新書)の書評で記した。

 また、電力会社による原発推進のための巨額なカネが政・官はじめマスコミや学会をも取り込んできたことは、電力業界を担当してきた元経済記者である志村嘉一郎氏の『東電帝国 その失敗の本質』(文春新書)に詳しい。

 原子力産業を推進することで得られる利益や権力を、電力会社はもちろんのこと政治家や官僚、そして学者やメディアも多かれ少なかれ共有してきた。また、原発の立地に関しては、望む望まないにかかわらず過疎という弱みにつけ込まれ、経済的な誘惑もあって、地域もまたこれを共有してきた。

 独占的に事業をし利益を上げる電力事業者を軸に、献金を受ける政治家、天下りをする官僚、広告をもらうメディア、寄付金をもらい研究費をつけてもらう学会、交付金などをあてにする自治体。

 多くのものが利害を共有する“グル”になっている。だがそこには属さず、つまり利益を得ることなく今回の原発事故のように被害だけを受けた多くの人がいる。

 こうした構造は原発周辺だけに限らない。以前このコラムで触れたが、消費者金融やパチンコ産業の周辺でも同様で、多重債務問題や依存症といった社会問題が存在しそれをメディアが報じる一方で、例えばテレビはこれらの広告を流し続け、政治家は献金を受けている。問題ありと分かっていても自分の身を削ってまで正面から問題をとえらようとはしない。

 人も組織も権力とカネに弱い。原子力産業という巨額なカネを動かし権力を惹きつける存在が国策と結びき、その推進に向けて走り出したら、不公正や非民主的な手続きにも目を瞑ってしまうなど、たいていのことは正当化できてしまうのではないのだろうか。

 そして、先の記事にあるような一つひとつのことが積み重なって、健全な批判を遠ざけてしまい、その結果が今回のような事故につながっていくとも考えられる。

民間企業に自己規制は無理

 行政においてすら原発建設をはじめ原子力産業については、公正な判断ができていない。まして、民間企業である電力会社に自ら公正な判断などを要求する方が無理だろう。ビジネスというのは本質的に利益追求が第一であるのは言うまでもない。

 公共性への配慮や社会的責任を企業使命としても、それを第一義にすることなどあり得ないのは“まっとうな”ビジネスに携わっている人なら分かるはずだ。

 中間報告書は、東電が、地震によって起きる最大波高15.7メートルと想定される津波の可能性を有識者から指摘されても、実際は来ないと考え対策は打たなかったことなどを具体的に示し、「東京電力は08年に津波対策を見直す契機があったが、その見直しはされず、今回の事故を防ぐことができなかった」と判断している。

 では、なぜそうしたかだが、それは規制、監視される側の国との関係が馴れ合いであることもあるだろう。しかし根本的には東電がコストと利益を第一に考える民間企業だからである。

 原発事故の検証をしたNHKの番組などで東電の元幹部や関係者が証言しているように、対策のためのコスト負担をできるだけ低く抑えたいという社内の圧力や自己規制が働いたことを複数の人が正直に話している。

 これが民間企業の当たり前の限界であり、この本質を理解していればほとんどが企業の電力事業者に原発の安全確保を任せることはできない。

 従って健全な批判・監視を任務とする公的機関を強化するか、あるいは上水道と同様、電力供給という極めて公共性の高いサービスは国有化などコストと利益に左右されない公営企業への道を考えるべきだろう。
至る所にはびこる“グル”の構造

 繰り返すが、国と電力会社が中心となって利益を共有する“グル”の構造を変えない限り真の変革はできないだろう。それには利害関係のない批判的意見を積極的に取り入れ、それへの反証可能性をもって実行に移せるかどうかの判断をすべきだ。

 原発事故を契機に振り返れば、この“グル”の構造が至る所で見せかけの民主的プロセスという弊害をもたらしてきた。

 例えば、八ッ場ダムに象徴されるダム開発などの巨大開発は最初に開発ありきと結論が出れば、事前の環境影響評価など、目的に合わせて調整されてしまう。評価を請け負う企業関係者は開発への否定的な結果は出しにくいのが事実だ。

 私は個人的には、現行制度での原発建設には反対であり段階的に原発は縮小すべきと考える。しかし、“グル”の構造がなくなり、民主的なプロセスの中で議論し、国民投票なり選挙を通じてリスクを承知で原発維持が決まるのであればそれはそれで受け入れるしかない。

 しかし、仕組まれた見せかけの民主的なプロセスがまかり通っているなかで、今回のような事故がまた起きたなら悔やんでも悔やみきれない。

 どんなに原発の設計上の安全性が高まり安全対策が考案されても事故は起きないという保証はない。だからせめて、原発をめぐる政策決定については、リスク情報が開示され、それをもとに公正な議論をし決定するという民主的プロセスの仕組みが徹底されることを望む。

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January 01, 2012

毎日jp --核燃サイクル:直接処分コスト隠蔽 エネ庁課長04年指示 2012年1月1日

核燃サイクル:直接処分コスト隠蔽 エネ庁課長04年指示 2012年1月1日 2時30分(最終更新 1月1日 5時05分)

 経済産業省の安井正也官房審議官が経産省資源エネルギー庁の原子力政策課長を務めていた04年4月、使用済み核燃料を再処理せずそのまま捨てる「直接処分」のコスト試算の隠蔽(いんぺい)を部下に指示していたことが、関係者の証言やメモで分かった。全量再処理が国策だが、明らかになれば、直接処分が再処理より安価であることが判明し、政策変更を求める動きが加速したとみられる。

 2カ月後、青森県六ケ所村の再処理工場稼働で生じる費用約19兆円を国民が負担する制度がとりまとめられており、データ隠しが重要な決定につながった疑いが浮上した。

 再処理を巡っては02年以降、東京電力と経産省の首脳らが再処理事業からの撤退を模索していたことが判明している。安井氏は京大工学部原子核工学科卒の技官で長年原子力推進政策に関わってきた。いわゆる「原子力ムラ」が撤退への動きを封じた形だ。

 試算は通産省(当時)の委託事業で、財団法人「原子力環境整備センター」(現原子力環境整備促進・資金管理センター)が98年、直接処分のコストを4兆2000億〜6兆1000億円と算定した。直接処分なら再処理(約19兆円)の4分の1〜3分の1以下ですむことを意味する。

 毎日新聞が入手したメモは、経産省関係者が04年4月20日付で作成した。「部下(メモは実名)が昨日、安井課長に(試算の存在を)伝えたところ『世の中の目に触れさせないように』との厳命が下った」と記載されている。

 部下は取材に対し、安井氏から「試算を見えないところに置いておいてくれ」と指示されたことを認め「目立たないよう他の資料も山積みにしていた、いすの後ろの床の上に置いた」と証言した。

 経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」では同5月、複数の委員から直接処分のコスト計算を求める意見が出ていた。原子力政策課は分科会の担当課だったが委員らに試算の存在を伝えず、分科会は同6月、約19兆円を産業用、家庭用の電気料金に上乗せする新制度の導入案をまとめた。これが「国内全量再処理」を堅持する現行の原子力政策大綱につながっている。

 安井氏は取材に対し「(部下が試算を持ってきたことは)あったかもしれないが(隠蔽指示は)記憶にない」と話した。【核燃サイクル取材班】

 ★直接処分と再処理 原発で使った使用済み核燃料から再利用可能なウランやプルトニウムを取り出すのが再処理。直接処分は再処理せず地中に埋めるなどして処分する。エネルギーの安定供給などを名目に1960年代から再処理路線を推進してきたが、ウラン節約効果は1〜2割にとどまりコストも高い。再処理して作った燃料(MOX燃料)を使うプルサーマルは計画の4分の1程度しか進んでおらず、青森県六ケ所村の再処理工場は着工後18年を経ても稼働していない。


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毎日jp --核燃サイクル:直接処分コスト隠蔽 再処理固執の果てに 2012年1月1日

核燃サイクル:直接処分コスト隠蔽 再処理固執の果てに 2012年1月1日 2時30分

 使用済み核燃料の直接処分のコスト試算隠蔽(いんぺい)は、結果的に青森県六ケ所村の再処理工場稼働に有利に働くという点で、使用済み燃料受け入れを提案する02年のロシアの外交文書を隠した問題と同じ構図だ。情報公開に背を向けても再処理に固執する「原子力ムラ」の異常とも言える論理が浮かび上がる。今夏をめどに新しいエネルギー政策を打ち出す政府のエネルギー・環境会議には、徹底した情報公開に基づく論議が求められる。

 部下に隠蔽を指示した経済産業省資源エネルギー庁の安井正也原子力政策課長(当時)が現在、東京電力福島第1原発事故後の安全確保策作りを進める「原子力安全規制改革担当審議官」という要職を務める点でも問題は深刻だ。安井氏は原子力安全・保安院を経産省から切り離し、4月に原子力安全庁として発足させるための準備にも深く関わっている。データ隠しまで行った原発推進派を、規制というブレーキ役の中心に据えている経産省の姿勢が問われる。

 直接処分のコスト試算が存在することは04年7月、毎日新聞の報道などで判明した。このため、参院予算委員会(04年3月)で社民党の福島瑞穂党首が「再処理をしない場合のコストはいくらか」と質問したのに、日下一正・エネ庁長官(当時)が「日本には再処理しない場合(直接処分)のコストを試算したものはない」と答弁したことが問題化。「結果的に事実と違う答弁をした」として日下長官が訓告、答弁案の作成を担当した安井課長らが厳重注意処分を受けた経緯がある。

 軽い処分の理由は「(試算の存在を)つい最近まで知らなかったので故意でも悪質でもない」(当時の中川昭一経産相)ため。しかし今回、安井氏が3カ月も前から試算の存在を把握していたことが明らかになった。処分の前提が変わった以上、経産省の再調査は不可欠で、再処分も検討すべきだ。【小林直、清水憲司、太田誠一】


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November 24, 2011

毎日jp --核燃:露文書隠蔽 次官にも報告せず 委員からは怒りの声 2011年11月24日

核燃:露文書隠蔽 次官にも報告せず 委員からは怒りの声 2011年11月24日 2時30分(最終更新 11月24日 2時44分)

 誰の手で握りつぶされたのか。使用済み核燃料の受け入れを提案する02年のロシアの外交文書。「経済産業省トップ(事務次官)にも報告していない」と証言する資源エネルギー庁関係者もおり、隠蔽(いんぺい)の徹底ぶりが浮かぶ。当時、国の審議会では六ケ所村再処理工場(青森県)稼働の是非が論議されていた。「判断するために貴重な情報。事実ならとんでもない」。委員から怒りの声が上がった。【核燃サイクル取材班】

 「エネ庁には04年初めにファクスが届いた」。関係者が明かす。在ロシア大使館に届いた文書は内閣府の原子力委員会に渡り、その後エネ庁へ。エネ庁では一部幹部への配布にとどまり経産省事務次官に渡らなかったとされる。「六ケ所の邪魔になる。どうせ握りつぶすんだから上に上げる必要はない」。関係者は独自の理論を展開した。エネ庁原子力政策課で課長を務めていた安井正也・経産省審議官(原子力安全規制改革担当)は取材に、文書が存在するかどうか直接答えず「記憶にない」と繰り返した。

 「シベリアに国際管理して埋めるというのはどうか」。03年6月の参院外交防衛委員会で舛添要一参院議員(当時自民)が質問した。原子力委員会の藤家洋一元委員長は「自らの責任において処理すべきだ」と海外処理を否定する答弁をした。藤家氏は取材に対し「『ロシア』という話はこの時に初めて聞いた」と説明、01〜04年の在任中、ロシア側から文書による提案は「ない」と語った。原子力委員会には事務局役の職員(官僚)が約20人いる。経産省同様、一部の「官」が握りつぶしたのか。文書の宛先の尾身幸次・元科学技術政策担当相も「(文書は)ない」と完全に否定しており、謎は深まる。

   ◇  ◇

 「隠蔽が事実だとしたらとんでもない」。経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」で委員を務めた大阪大の八田達夫・招聘(しょうへい)教授(公共経済学)は憤る。

 六ケ所村再処理工場は当時放射性物質を流しておらず、解体すれば費用は3100億円で済んだ。しかし、使用済み核燃料を処理するアクティブ試験(06年3月)などを経て本格操業した後廃止すれば1兆5500億円かかる。八田氏は04年3月、分科会で「大変な解体コストがかかる。(再処理せず直接地中に捨てる)直接処分という選択肢も考慮すべきだ」と主張。八田氏は「工場を放射性物質で汚すか汚さないかを判断する上でロシアの提案は非常に貴重な情報だった」と語った。

 ■六ケ所村再処理工場を巡る動き■

80年3月 電力各社が「日本原燃サービス」(現日本原燃)を設立

84年7月 電気事業連合会が青森県と六ケ所村に再処理工場など核燃サイクル3施設の立地申し入れ

85年4月 青森県と六ケ所村が「受け入れる」と回答

89年3月 日本原燃が事業申請。建設費7600億円、97年完成と計画

93年4月 着工

96年4月 建設費1兆8800億円に変更。完成を03年に延期

99年4月 建設費を2兆1400億円に変更。完成を05年に延期

  12月 使用済み核燃料貯蔵施設が操業開始

01年12月 使用済み核燃料貯蔵施設のプールから漏水するトラブル判明

02年10月 ロシアから再処理などを提案する外交文書が届く

04年1月 経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」が再処理費用などのコストを約19兆円と公表

  6月 原子力委員会の新計画策定会議が再処理継続などの議論開始

  11月 新計画策定会議が再処理継続の方針を決定

  12月 再処理工場で劣化ウランを用いる「ウラン試験」開始

05年3月 建設費を2兆1900億円に変更。完成を07年5月に延期

06年2月 建設費を2兆1930億円に変更。完成を07年8月に延期

  3月 実際に使用済み核燃料を通す「アクティブ試験」を開始

08年12月 高レベル廃液をガラスで固める工程でトラブル。試験中断

10年9月 完成を12年10月に延期

11年3月 東日本大震災で一時外部電源喪失


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