写真は、ロンドン東部ウォルサムストー(Walthamstow)のモスクで、午後の礼拝を終えて出てくるイスラム教徒たち。(c)AFP/STUART GRIFFITHS
【ロンドン/英国 16日 AFP】英ガーディアン(Guardian)紙が16日報じたところによると、英政府は同国の大学に対し、「南アジア系の外見」をしたイスラム教徒の学生を調査するよう要請する方針だ。これらの学生が、テロ活動を支援したりイスラム原理主義にかかわったりしている恐れがあるからとしている。
同紙は英教育省作成の文書を証拠とし、テロ組織が全英の大学でスカウトを行っており、学生たちがイスラム原理主義に「仕立て上げられている」との警告を大学側が受けていたと報じている。
この文書は全18ページで、公的機関あてに諮問文書として前月送付されたとみられる。
「警察当局が特定の学生層(たとえばイスラム教徒)を標的にする懸念」を認める一方、「隔離された」背景を持つイスラム教徒は、「より広範な社会に溶け込んだ」イスラム教徒よりも、イスラム原理主義的な考え方を支持する可能性が高いとみなしている。
■ 学生情報を当局へ提供要請
ガーディアン紙はまた、同文書が、学生に関する情報を積極的に地元警察の公安当局に提供するよう大学側を奨励しているほか、イスラム教学生団体が主催する講演会などに招かれる外部の講演者がしばしば「より急進的になってきている」として、これらの講演者についても大学側が調査を行うよう提言しているとも報じている。
この方針に対し、学生側は強い反発をみせている。全英学生自治会連合(National Union of Students)のGemma Tumelty委員長は、1950年代に米国で暴威をふるった反共活動になぞらえ、「すべてのイスラム教徒を、その信仰のゆえに疑いの目で見ようとしている。マッカーシズム支持に向かっている」と批判するコメントを出した。
写真は、ロンドン東部ウォルサムストー(Walthamstow)のモスクで、午後の礼拝を終えて出てくるイスラム教徒たち。(c)AFP/STUART GRIFFITHS