ぢつは、ワタクシ金曜日の23時ごろかなり緊張しておりました。
 というのも、月曜日にアルク社のブロガーイベントに参加させていただいた際に、テレビ東京系列のワールドビジネスサテライトが取材に訪れ、「ステルスマーケット」についてのインタビューまで受けてしまったのです。

 正直、インタビューが採用される可能性はかなり低いことは自覚していましたが、万が一にでも採用されてしまった場合、ブログが荒れてしまいそうな悪寒がしていたのでありますよ…。 

 心にやましいところはないのものの、攻撃する人たちはそんなこと関係ないでしょうからねぇ…。
 幸いインタビューはおろか、ブロガーイベントまですべてカットされてしまっていたので杞憂に終わりましたが、残念と言うよりホッとする気持ちの方が大きかったです。
 インタビューを受けるなら、ステマなんかより明るい話題について受けたいものです。

 ということで、今週の大前研一LIVEのレポートです。

 アジェンダ 
 ●消費増税 野田首相「公約と方針変わらず」
 ●公務員制度改革 議論本格化
 ●オバマ大統領 重要州のテコ入れ本格化
 ●オリンパス ソニーが2〜3割出資案を提示
 ●もしも大前研一が「花王の尾崎元規社長」だったら
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●消費増税 野田首相「公約と方針変わらず」
 野田総理の施政方針演説などに対する各党の代表質問が衆議院で始まった。
 その中で、総理は消費税の引き上げと2009年総選挙でのマニフェストとの関係について、衆議院の任期中には行わず、引き上げる際には国民の信を問う方針は今でも変わっていないと述べ、公約違反とはならないことを強調した。
 一方、民主党は2014年4月に消費税率を8%に引き上げる際に、低所得層を中心に現金を1年間に1人あたり1万円ずつ給付する検討に入った。

・大前学長の意見
 1万円を支払うためのシステムを作るだけですごいお金がかかるだろう。
 何を考えているのか理解ができない。
 生活が成り立たなくなる人には生活保護を給付することを徹底すれば良い。

 消費税が挙げられたとしても、この給付金制度によって半分以上を返すことになってしまえば意味がなくなり、最悪の場合は国債の暴落につながる可能性すらある。
 そちらの方が怖いと言うことをもっと説明すべきである。

 野田さんは「自分たちの任期中には消費税をあげない」といった微妙な表現をしている。
 4年の任期中に消費税を上げることだけを決めて、2014年に消費税が上がるのは自分たちの任期後ということである。
 自民党の谷垣さんの「消費税についての議論すら許さない」という態度には世論調査で57%もの反対意見がでており、自民党の森元総理は「増税法案に協力して、その後で解散すれば良い」といった趣旨の発言をしている。
 これに対する私の見解は、

「今までとは状況が変わってしまった。このまま民主党の方針通りに消費税を上げることだけを決めて総選挙を実施し、政権交代が実現した暁には国債が売り浴びせられて格付けが2段階下げられてしまうだろう。」
 
 ということである。
 依然、ヨーロッパ経済は深刻な状況にあり、なんとか投資家の関心を日本へ向けようとしている状況で、政権交代が実現し7年間で8人目の総理が誕生することになれば、海外の投資家は日本の政治家に国家を運営する資質がないとみなしてしまう可能性がある。
 しかし、消費税は5%上げても足らないだろう。
 民主党の一部にはさらに7%上げなければならないとする声があり、IMFは15%上げる必要があるとしている。

 私の計算では消費税を25%にしなければならない。 
 というのも、支出を20兆円削減し、収入を20兆円確保しなければ、プライマリーバランスを保つことができないためである。
 これだけあげても1000兆円の借金を返済することはできず、収支がプラスマイナス0になるだけである。
 このような状況を鑑みると、支出に対する削減努力が足らないように見える。
 過去に実施した事業仕分けでは数十億円の削減しか実現できていない。 

・chawanの意見
 日本の経済状況は危機的な状況に置かれているのですね。
 ソニー、パナソニック、シャープとエレクトロニクス業界については、どの企業も莫大な赤字決算となっていました。
 そして、生き馬の目を抜くような熾烈な国際競争の中、舵を取っているのは素人内閣…。
 振り返ってみれば、前回の総選挙では最悪のタイミングで政権交代が成し遂げられてしまったのかもしれません。
 個人的には消費税があがるのが2014年であるならば、来年あたりに車の買い換えを検討しようかな…。
 ………
 もうちょっとねばって、10%になるタイミングにしたい気がしてきたw
 まぁ、エコカー減税とかいろいろな条件を見極めて、最適なタイミングで買い換えを考えよう。


●公務員制度改革 議論本格化
 民主党が掲げる国家公務員の総人件費を2割削減する議論について、岡田副首相は「どこをどう削減するのか検討しなければならない」として、手堅くしっかりやっていとの姿勢を強調した

・大前学長の意見
 国家公務員を2割程度削減するべきである。
 イギリスやスペインでは25%の削減に成功している。
 日本の場合は国家公務員だけではなく地方公務員も含めて25%程度の削減を実現しなければならない。

 市役所などへ行くと窓口ごとに担当がきまっており、たとえ自分の担当窓口は空いていたとしても決して他の忙しくしている窓口を手伝うことはしない。
 民間の工場であれば多能工制度が確立しており、忙しさに応じて臨機応変に対応することができるようになっている。
 市役所などでも多能工のシステムを取り入れれば、人件費を削減することができるだろう。
 そして、シンガポールや韓国などのように窓口をサイバー化する方法もある。
 このように今までの手法を変えれば、サービスの質は落とさずに人員を25%削減できると考える。

・chawanの意見
 最近、一部の市町村では住民票をセブンイレブンで発行できるようになったようですが、市役所のサービスが悪いのはなんとかなりませんかねぇ。
 IT化の流れに取り残されているように思います。
 こういった見える部分でも非効率性を感じるところがあるくらいなので、表に出てこないところでも旧態依然とした箇所が多いのではないでしょうか。
 このあたりは橋下改革で大阪からある程度改善されることを期待します!
 

●オバマ大統領 重要州のテコ入れ本格化
 共和党の対立候補が予備選挙で足を引っ張り合う中、オバマ大統領は大統領選挙の鍵を握る浮動票の多い重要州のテコ入れを本格化した。
 雇用の悪化や住宅市場の低迷の影響を受けやすい州を中心に遊説を展開する方針で、中間層への支持拡大を図っている。

・大前学長の意見
 共和党の対立候補がロムニー氏以外であれば民主党が中間層を確保するのはほぼ確実であるが、ロムニー氏となっても中間層を取り込むことに成功しそうな勢いである。

 対立候補の1人であるギングリッジ氏は万年大統領候補であり、歴戦のベテランである。
 良い闘いができる可能性はあるが、過激な発言や感情的になりやすい性質を見ていると、長丁場の大統領選でオバマ大統領との一騎打ちになれば、失言は避けられずオバマ大統領が優勢となるだろう。
 オバマ大統領は共和党の敵失で有利な状況となってきたいる。
 
・chawanの意見
 国内の報道を見ているだけではアメリカの共和党の予備選挙の状況はよくわかりませんが、ネガティブキャンペーンが展開されているようで、生産的な議論がなされていない模様です。
 そして、今週の大前研一LIVEで取り上げられると思いますが、先日 アメリカの雇用統計が回復基調にあることが発表されました。
 状況はオバマ大統領の再選に流れが傾きつつあるのかもしれませんね。
 しかし、生産的な議論が行われないのは、日本も海外も変わらないのですかね…。


●オリンパス ソニーが2〜3割出資案を提示 
 ソニーが2〜3割の出資案を提示し、内視鏡の共同開発なども進める方針を打ち出している。

・大前学長の意見
 ソニーが2〜3割出資する案を提示しているが、その程度ではどうしようもない。
 今後は、富士フイルムを含めて話が進展していくことになるだろう。

 1/27現在の株価は持ち直してきており時価総額は3400億円程度にまで回復した。
 不採算事業を切り捨てれば、7000億円程度までは回復する可能性があると見ている。

 要するに良い事業をもっている企業は買い手が現れるということである。
 
・chawanの意見
 ソニーやパナソニックは莫大な赤字決算となったことが発表されました。
 ソニーにオリンパスを買収できるような余力はあるのでしょうか…。
 社長交代の会見で平井新社長はオリンパスとの提携についてはノーコメントと回答したようですが、発表された重点施策を見ていると「将来のコア事業の一つであるメディカルエリアの事業推進」という言葉がありました。
 かつて、富士フイルムが収益構造をフィルム事業からオフィス事業などに転換したように、ソニーも収益源をIT分野から他の事業に見いだそうとしているように思えてなりません。
 そして、富士フイルムにとっては収益源の強化ということなのでしょう。


●もしも大前研一が「花王の尾崎元規社長」だったら
 成長の鈍化した国内偏重の現状を如何にして突破するのか。

・大前学長の意見
 花王は日本の優良企業の一つであるが、近年業績が低迷してしまっている。

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 業績を調べてみると、フロッピーディスクから撤退したことにより営業利益が一時は改善したものの、カネボウを買収したころから利益が減少していることがわかる。
 そして、営業利益率についても、カネボウを買収したころから悪化し、特に化粧品部門での利益が落ちている。

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 セグメントごとの業績をしらべてみると、売り上げ的にはビューティケア部門での売り上げが圧倒的に多いものの徐々に減少してきており、利益にいたってはほとんど計上できていない状況となっている。
 ホームケア部門については売り上げ高はそれほど多くないものの、利益については全体の半分近くを占める勢いである。
 つまり、花王ホームケアといっても過言ではない状況となっている。

 カネボウ時代は化粧品で利益をだしていたのに花王に買収されてから利益がだせない原因は、花王という企業のよそ者を排除するドメスティックな体質に原因があるのではないかと考える。
 ライバル企業である資生堂にとっては、カネボウは脅威的な存在であったが、花王に買収されて以降は恐るるにたらないといった棚ぼた状態となっている。

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 地域ごとの売り上げ高の推移を調べてみると、国内はおろかアジア、北米、欧州を含めてどこも伸びていない状況となっている。

 花王はことあるごとに海外展開を図ってきた企業である。
 米国のコルゲート社と合弁したり、ドイツのコールドウェルを買収したり、海外工場を各地にたてるなどの実績があるが、どれもうまくいっていないのが実情である。
 これらの原因は、やはり和歌山至上主義というか考え方が保守的すぎることにつきる。

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 主要メーカーの海外売り上げ比率をしらべてみると、花王は国内の比重が高く海外ではあまり儲かっていないことがわかる。
 P&G社やユニリーバ-などは海外での売り上げが6割以上を占めており、花王は海外へ進出したときにはこれらの企業と戦うことになる。

 致命的なことは花王は総合的なホームケアメーカーであって、特徴的な商品をもっていないことである。
 ユニリーバ-のようにおむつと生理用品に専念していたとしたら、まだ海外市場で戦う術はあったかもしれない。
 そして、花王は1.2兆円物売り上げがありながら時価総額は1.1兆円にとどまっているが、ユニリーバの時価総額は10兆円を超えている。

 他社の海外戦略の特徴を調べてみると、P&Gについては140カ国以上の国籍の社員がいる上に優れたグローバル人事制度まで備えられており、ローカルの成功をグローバルに展開する柔軟性をもちあわせている。
 ユニリーバ-については、途上国での売上比率が50%を超えており、女性販売員が組織化され、小分け販売などといった実情に即した戦略を展開している。

 花王とP&Gを比較すると、P&Gは140各国以上の国籍をもつ約14万人もの社員がいるのに対し、花王は約4万人で7割が日本人となっている。
 また、P&Gは現地採用を基本としている上に世界共通の人事評価がなされている。そして、採用地以外での就業も必須とされている。 
 これに対し、花王は日本人中心に採用されており、日本から世界各国へ人材を派遣している。
 したがって、海外の事情を把握することができず手も足もでない状況に陥っている模様である。
 遅ればせながら世界的な人材の確保を考え出したようだが、数と質が劣っている状況となっている。
 そして、P&Gは約180カ国に事業を展開しており、グローバルブランドをローカライズしたかと思えば、逆にローカルブランドをグローバル化したりしている。
 次にユニリーバについては、インド、インドネシア、タイ、ブラジルなどの途上国でトップシェアを誇り、国を決めて集中的に展開を図るのが特徴的である。

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 現状の花王の課題としては、

 ・グローバルな人材がいない
 ・途上国で手も足もでない
 ・商品力に特徴がない

 ということが上げられる。

 したがって、短期的には他社を買収したり、過去にケンか別れした米国のコルゲート社と再び手を組む手段が考えられる。
 コルゲート社はオーラルケアで世界1位の実力があるのにも関わらず日本市場で弱い。
 花王もライオンなどの後塵を拝していおり、双方にメリットのある提携となる可能性がある。

 もしくは、インドネシア市場に強いマンダム社を買収したり、芳香剤で国内トップを誇る小林製薬を買収する方法も考えられる。
 また、インド市場や、中国事業ではグローバル企業にもまれながらも、ローカル企業で存在感を発揮する企業がいくつかあるのでそうした企業を買収するのも良いかもしれない。 

 そして、花王は海外市場だけに専念する会社を別に作ったほうがよいかもしれない。
 トヨタなどはそうした手法で成功した事例の一つである。

 グローバル本社の元に新設の海外販社を設立し人材を育成し、既存組織優先の企業風土を打破することが非常に重要である。
 海外市場については、米国や欧州についてはもはや進出する余地が少ないので諦めた方が良く、中国やインドに狙いを定めた方がよい。

 まず、カネボウを買収しても利益をあげられなかったということに対して、自分たちの企業風土が悪かったということを反省すべきである。  
 花王のような企業が海外で成功できないのは日本企業の象徴的な姿であり、日本にはミニ花王のような企業が多数存在している。
 だからこそ花王自身が一度けんか別れしたコルゲート社と組むくらいの謙虚さで、状況の打破に取り組むべきである。

・chawanの意見
 花王については、2011年の秋に一部で不買運動が展開されました。
 今回のLIVEではその影響は説明されませんでしたが、私が量販店で見る限り 花王の製品は特売キャンペーンが展開されていたりするなど、苦しい状況に置かれているように見えました。
 そして、大前学長が説明された内容を聞いていると、花王の収益源であるホームケア製品で不買運動を展開されてるとダメージが大きかったのでしょうね…。
 ちなみに、ワタクシも流れにのっかって花王の不買運動に参加してみたのですが、何気なく購入していた洗剤などに花王製品が多くてビックリした記憶があります。
 花王にはこういった逆風を乗り越えて、企業風土の改革に励んでもらいたい物であります。
 ワタクシはしばらくライオンなどの他社製品で過ごそうと思っていたりはしますけどねw

以上