民主党の小林千代美衆院議員(41)=北海道5区=側へ、北海道教職員組合(北教組)が1000万円を超える選挙費用を違法に資金提供したとされる政治資金規正法違反容疑で札幌地検は15日、札幌市の北教組の事務所を家宅捜索した。調べは午後6時すぎから翌16日午前2時近くまで、約7時間半に及んだ。
捜査関係者によると、北教組側は昨年8月の衆院選で当選した小林氏側に公示前、4回にわたって計約1600万円を提供していたとみられる。地検はこれらの資金提供が、政治資金規正法で禁じられた企業、団体による政治家個人への献金に当たる疑いがあるとみている。また公選法は選挙費用の収支報告を義務付けているが、小林氏の報告書に該当する記載はなく、地検は公選法違反の疑いでも捜査している。
小林氏の陣営では、北教組幹部が選挙対策委員長を務めるなど、北教組の全面的な支援を受けていた。北教組の小関顕太郎書記長は捜索終了後に会見し、「捜索を受けたことは極めて遺憾で驚いている」としたうえで、「(小林氏への資金提供の)認識はないが、組織としてきちんと調査し、しかるべく対応していく」と述べた。
教育関係者によると、北教組はその活動の激しさから広島、大分とともに「H2O」と並び称される日教組の牙城。文科省の施策にことごとく反対してきたことでも知られ、教育委員会も手出しできない学校が多い。このため、北海道出身者で特異な教育体験をした人は少なくない。高校卒業まで札幌市内で過ごした30代の男性会社員はこう語る。
「小学校と中学校の卒業式では日の丸を見たことはなく、君が代を歌ったこともない。職員室には選挙候補者のポスターが平然と張られ、1時間目はストライキだと言って授業をしない先生もいた。いまから思えばむちゃくちゃな教師がたくさんいた」
授業内容も、学習指導要領を否定する立場。各学校には「『国家のための教育』は許さない!」と題した資料が配付され、社会科では「『国を愛する心情を育てる』は論外」などと書かれている。その結果、“独自”の歴史観や国家観を持つ教師もいるようだ。
先の男性会社員は「中学の時、社会科の教師が教科書に『北朝鮮』『韓国』と書かれていることに激怒した。『北朝鮮は地域名で韓国は国名。片方を北朝鮮とするなら、もう片方は南朝鮮にしなければおかしい』などと主張し、生徒全員の教科書の韓国表記を線で消させ、すべて『南朝鮮』に書き換えるよう指示した」と際どいエピソードを明かす。
北海道出身の教育関係者は「北海道では、公立校の日本人教師が札幌にある朝鮮学校で授業を行う『交換授業』が定期的に行われ、交流が進んでいる」といい、なぜか“北の大地”では日朝交流がさかんなようだ。
一方、韓国の有力紙「朝鮮日報」は昨年末に「独島 北海道教職員組合『韓国の主張が正しい』」との記事を掲載。北教組が一昨年11月、竹島(韓国名・独島)の領有権問題で「韓国側の主張が事実に基づいている」という資料を作成し、組合員らに配布したとして、「教育現場では『韓国の主張が正しい』と生徒たちに教えるよう指示するものだった」と報じている。
北教組の小関書記長は「韓国の組合との交流で、向こうで学習した内容の報告を内部の資料に載せただけ。『生徒に教える』という意図はない」と否定するが、一事が万事、こんな調子で“独自教育”が行われているのが北教組の実態のようだ。