2011年12月9日 16時39分 更新:12月9日 19時40分
秋田市の弁護士、津谷裕貴さん(当時55歳)を殺害したとして殺人罪などに問われた同市の無職、菅原勝男被告(67)の裁判員裁判の判決が9日、秋田地裁であった。馬場純夫裁判長は「身勝手な理由や思い込みによる逆恨み以外の何物でもなく、犯行の動機に酌量の余地はない」として懲役30年(求刑・無期懲役)を言い渡した。
判決によると、菅原被告は離婚後の財産分与で元妻の代理人となった津谷さんに恨みを抱き、昨年11月4日午前4時ごろ、津谷さん宅に刃物や拳銃などを持って侵入。殺意をもって刃物を津谷さんに突き出し殺害した。
弁護側は、警察官に押さえられていたところに津谷さんが覆いかぶさって刃物が刺さったとして殺人未遂罪を主張したが、判決は津谷さんの傷痕などから菅原被告の供述は「極めて不自然」と退けた。
一方、家事審判の相手方の弁護士を襲った点について、検察側が論告で「法秩序を脅かす悪質な犯行」と指摘したのに対し、判決は「30年来の知人が相手方の代理人になったという個人的な恨みが根底にあり、司法制度に対する挑戦と評価するのは相当といえない面もある」とした。
判決後、津谷さんの妻良子さん(54)は「血の気が引く思いがした」と量刑への不満を語り、検察に控訴を求めた。【加藤沙波、坂本太郎】