2011年12月9日 11時16分 更新:12月9日 14時30分
内閣府が9日発表した11年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期比1.4%増、年率換算で5.6%増だった。11月発表の速報値(前期比1.5%増、年率換算6.0%増)から下方修正された。速報段階でプラスだった設備投資がマイナスに転じたことが要因。
3四半期ぶりのプラス成長となったものの、欧米経済の減速や歴史的な円高により企業の投資意欲が減速している実態が裏付けられた。古川元久国家戦略・経済財政担当相は会見で「景気は持ち直しつつあるが、そのテンポは緩やかになっている」と述べ、欧米経済の動向や為替など金融市場の影響を注視する考えを示した。
内閣府は5年に1度のGDPの基準値改定を今回実施。さらに速報後に発表された法人企業統計も織り込んだ結果、設備投資は0.4%減となり、速報値の1.1%増から大幅に下方修正された。
個人消費も0.7%増と速報値(1.0%増)から下方修正。基準値改定で品目構成を入れ替えたことが影響した。一方、輸出は基準値改定がプラスに働き、7.3%増と速報値(6.2%増)から急増した。物価変動を反映し、生活実感に近い名目GDP改定値は前期比1.2%増、年率換算で5.0%増だった。
基準値改定により、過去のデータも修正された。10年度の実質GDPは旧基準では前期比2.4%増だったが、改定後は3.1%増に上方修正された。リーマン・ショックの影響で09年度が2.1%減に落ち込んだ反動もあり、バブル期の90年度(6.2%増)に次ぐ高成長となった。【赤間清広】
◇11年7~9月期GDP改定値
実質成長率 1.4( 1.5)
(年率換算) 5.6( 6.0)
個人消費 0.7( 1.0)
住宅投資 5.2( 5.0)
設備投資 ▼0.4( 1.1)
在庫投資 0.3( 0.2)
輸出 7.3( 6.2)
輸入 3.5( 3.4)
名目成長率 1.2( 1.4)
※前期比伸び率%、▼はマイナス、カッコ内は1次速報値、在庫投資は対実質GDP寄与度