2011年12月9日 11時30分
政府の許可を受けて南極海での調査捕鯨を行っている日本鯨類研究所(東京都中央区)などは9日、反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」と、SSのポール・ワトソン代表を相手取り、調査捕鯨に対する妨害活動の差し止めや捕鯨船団の一定距離内への接近禁止を求める訴訟を米・ワシントン州連邦地裁に起こした。日本の調査捕鯨を巡るSSへの提訴は初という。
訴訟では裁判所の仮処分による差し止め命令も求めており、早ければ1カ月程度で決定が出る見通しという。同研究所は「SSの行為は海洋航行不法行為防止条約などに違反する」と説明。米国で提訴した理由は「SSの本部がワシントン州にあるため」とした。
水産庁などによると、SSの妨害活動は05年度から行われ、薬剤入りの瓶を船へ投げ込まれたり、信号弾を撃ち込まれるなどしてきた。船団の監視船に不法侵入したとしてSSメンバー1人が海上保安庁に逮捕されたほか、昨年度は予定より約1カ月早い調査打ち切りに追い込まれた。
南極海での調査捕鯨は毎年11~12月ごろから始まり、今年度も水産庁の監視船を派遣するなど警備体制を強化して継続する。同研究所は「今季も妨害が予想される。SSの行為は年々エスカレートしており、乗員の安全を確保するため提訴に踏み切った」としている。【曽田拓】