東京電力は5日、福島第一原発2号機で、冷温停止状態の判断基準である原子炉圧力容器底部の温度計の一つが上昇し、70度を超えたと発表した。原子炉に注水する配管を切り替えた時、燃料の一部に水が届かなくなった可能性があるという。冷却水を増やしつつ様子を見ている。
東電によると、5日午後4時に71.7度まで上昇した。1日の52度から上がり気味だった。ただ、炉内で同じ高さにある別の温度計二つは約45度で安定している。福島第一原発内の放射線量に変動は見られない。現在は冷却水を1時間あたり1トン増やして9.6トンで注水している。午後5時には69.4度に下がった。注水用の配管は凍結防止のために付け替え工事をしており、注水量を変えていた。
福島第一原発の事故後の保安規定では、この温度計の温度が80度に達するか、注水量を1日で毎時1トンを超えて増やすと「運転上の制限の逸脱」となり、地元自治体に通報しなくてはならない。温度計は最大20度の誤差があるため、80度を超えれば、原子炉の「冷温停止状態」の条件を超えてしまう。そのため、注水量をさらに増やすか様子をみている。東電は、溶融燃料で再び核分裂が連鎖する「再臨界」をしていないかを確認するため、数日以内に、炉内ガスの分析をする。