( 2/5 付 )
客室に出向いた女将(おかみ)が三つ指ついてあいさつする。20年ほど前、指宿のホテルで初めてそんな接客を受けた時は「上客でもないのに」と恐縮した。
このあいさつ回りを始めたのは、石川県和倉温泉の旅館の女将といわれる。戦後すぐ、宴席でまめに酌をして回る当時の県知事を見習った。ただ、長年続けたせいでひざは硬くなり、正座が困難になったという。
もともと感謝の気持ちを表したいという思いからだが、客の満足度を肌で感じることにもつながった。この旅館は「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」(旅行新聞新社)で32年間も総合1位を続けている。
現在の女将、小田真弓さんの話を聞く機会があった。出迎えの瞬間から従業員は客の様子を観察し、体格に合った浴衣を持ってきたり、訪れた目的が誕生祝いならケーキを届けたりする。先代から引き継いだもてなしの心は健在だ。
のれんと信用を守り続ける苦労は並大抵ではない。「日本一高い山は富士山と知っているが、2番目はだれも知らない。商売を続ける以上は日本一を目指さなくては」という決意の言葉からは、重圧も感じられた。
直近の100選では、鹿児島県からも総合8、9、52位に入っている。小田さんは鹿児島の同業者と交流があり、観光資源を生かした取り組みを知っていた。もてなしの心を磨いて、県観光を日本一の座に押し上げたい。
2012/02 | 2012/01 | 2011/12 | 2011/11 | 2011/10 | 2011/09 | 2011/08 |
- 客室に出向いた女将(おかみ)...(2/5 付)
- 鹿屋市花岡に住む二科会会員の...(2/4 付)
- ゲルハルト・ボッセさんに会っ...(2/3 付)
- プロ選手の練習を間近で見て、...(2/2 付)
- 先日、小紙「ひろば」欄に今年...(2/1 付)
[ 戻る ]