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内部被ばく:「検出できず」6割 南相馬市立病院が調査

※11月5日現在の換算値。政府の資料による
※11月5日現在の換算値。政府の資料による

 福島県南相馬市立総合病院の坪倉正治医師らが行った高校生以上の市民の内部被ばく線量調査の結果、検出限界以下となった人が昨年9~12月の3カ月間で約1.6倍に増えていたことが分かった。また、大半が国の規制値の年間1ミリシーベルトを下回っていた。被ばく線量は時間の経過と共に低下する傾向がみられ、原発事故後の食事や空気、水などによる慢性的な内部被ばくがそれほど大きくない実態が浮かび上がった。

 調査は昨年7月11日から、南相馬市民や、一部伊達市民など計約1万人を対象に、内部被ばくを測定する「ホールボディーカウンター」を使って原発事故で放出された放射性物質セシウム137の被ばく線量を測定。このうち、昨年9月26日~12月27日までに測定した高校生以上の南相馬市民4745人分の詳細な解析をまとめた。

 その結果、内部被ばく線量が測定器の検出限界(1人あたり約250ベクレル=ベクレルは放射線を出す能力の強さ)を下回ったのは2802人(59.1%)。体重1キロあたり20ベクレル以上は169人(3.6%)、同50ベクレル以上は16人(0.34%)いた。

 体内に取り込まれた放射性物質は徐々に排出され、大人では3~4カ月で半減する。事故時に一度に被ばくしたと仮定して試算すると、年間1ミリシーベルト以上になるのは1人だった。

 残りの約5000人も、突出した数値を示す例はなく、ほぼ同じ傾向がみられるという。南相馬市の2日時点での空間線量は毎時0.1~2マイクロシーベルト。【河内敏康】

毎日新聞 2012年2月5日 2時34分(最終更新 2月5日 2時59分)

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