東京の老舗出版社「岩波書店」が定期採用の応募資格について、「岩波書店の著者や社員の紹介があること」と明記し、いわゆる「コネ」を条件にしていることが分かりました。厚生労働省は、「コネを条件にした募集方法は聞いたことがない」として問題がないかどうか調べることにしています。
岩波書店では、再来年度、定期採用する社員の募集要項の中で、応募資格を「岩波書店の著者の紹介状、あるいは岩波書店の社員の紹介があること」と明記しています。岩波書店では、ことしの春、入社する社員の採用から同様の方法をとっていたということです。厚生労働省はコネを条件にした募集方法は聞いたことがないとしていて、岩波書店の募集方法に問題がないかどうか調べることにしています。岩波書店は、「数名の定期採用に対して、多い年には1000人を超える応募があり、受験する人の数を制限するため社内で協議し、現在の方式での絞り込みを行っている」と話しています。
若者の就職問題に詳しい独立行政法人労働政策研究・研修機構の小杉礼子研究員は「問題の背景には、インターネットの普及で就職活動をする学生の多くが一部の大企業などに大量に応募し、絞り込みを行う企業側のコストがかさんでいるという事情があるのではないか」と指摘したうえで「学生にとっては応募したくても門前払いされるので理不尽としかいいようがない。公正な機会を設けることが望ましい」と話しています。