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スギ花粉、放射性物質の付着は大丈夫?

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2012/1/20付
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 ただ低線量でも体内で被曝するのは事実で、その健康影響ははっきり分かっていない。東京大学アイソトープ総合センターの桧垣正吾助教は「気になる人はマスクなどで花粉を吸い込まない工夫をするとよい」と助言する。原発事故直後に飛散した放射性物質は花粉の外部にくっついていたが、今年はスギが取り込んだ放射性物質が花粉に移行している。このため「花粉の大きさを通さないマスクで十分に防げる」(桧垣助教)。

清浄機で除去可能

 東大は事故直後にマスクで放射性物質が防げるか本郷キャンパス(東京・文京)内で実験。マスク外側で放射性物質がとどまるのを確かめた。放射性セシウムは直径3マイクロメートル以上の物質にくっつきやすい。スギ花粉は約30マイクロメートルあり、花粉対策用マスクの着用や空気清浄機で取り除けるという。

 マスクやゴーグルのほかにはどんな予防策があるのか。最も重要なのは花粉に触れないこと。晴れて気温が高い日や雨が上がった翌日などに飛びやすいのを頭に入れておこう。都市部では昼前後や日没後などが花粉が多い時間帯なので不要な外出は避ける。携帯電話でその日の花粉情報を得るなどうまく利用しよう。

 表面がつるつるした素材のコートや帽子などでガードするのも有効だ。家に帰ったら玄関先で花粉を払い落とし、屋内に持ち込まない。洗顔はしっかりとする。「せっけんで洗った後のすすぎが不十分だと花粉が皮膚にとどまり逆効果のこともある」(理化学研究所の石井保之チームリーダー)ためだ。鼻を洗浄するのも効果がある。

 薬は症状の緩和が期待できる。ヒスタミンの働きを抑える薬と鼻づまりが強い場合などに使うロイコトリエン拮抗薬が代表だ。抗ヒスタミン薬のうち第1世代は眠気を誘う成分が入っているタイプもある。眠くならない第2世代も出ており、病院で処方されるのはこちらが中心だ。薬は花粉が飛ぶ1~2週間前までに服用し始めるのがコツだ。

 症状が改善しないときは病院でアレルギー検査を受けるのも手だ。重症だと分かれば、「3~5年をかけて根本的に治療する免疫療法なども検討する」と東京医科大の北村講師は話す。現在はスギ花粉から抽出したエキスを注射しているが、舌下に含ませて吸収する臨床試験が進んでおり、順調なら数年後にも実用化する見通し。このほかに過敏になった鼻粘膜をレーザーで焼く手術もある。早めの対策で花粉シーズンを乗り切りたい。

(吉野真由美)

[日本経済新聞夕刊2012年1月20日付]

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