この薬の開発者として、どうしても書いておかなければなりません。マンガ作文という薬は、処方さえ間違えなければ、驚くほど効き目があります。しかし、他の多くの薬と同じで、処方を間違えると毒にもなってしまうのです。それが私たちの十年の経験値です。毒になる場合とは次のようなことが上げられます。
1、 医者は薬を与えて、その薬が効果を発揮しただけなのに、自分の腕がいいと勘違いしてしまうことがある。=教師がテングになってしまう。
2、 長く与えつづけると副作用のようなものがでてきます。具体的に言うと、効果はあくまでも「書き慣れる」という点に限定されるのに、これに他の効果も求めてしまい、1年間もマンガ作文を引きずってしまう依存症のような状態になる。このようになってしまった生徒は、次の展開での「伸び」が期待できなくなってしまいます。このことは別の面から言うなら、教師がテングになり怠慢になる結果、次の展開を導きだせないことでもあります。
3、 2で言う、「他の効果」とは、文章の完璧性や厳密性のことです。「書き慣れる」という初期段階に、まだそれは必要ありません。それは、ことの性質上、もっと時間をかけ、少しずつ出来上がっていくものなのです。ところが、たとえば、この初期段階で日本人の好きな検定のようなものを設けて、そこを追究すると、むしろ、発達を阻害してしまう要因に容易になってしまいます。
私の知っているある塾では、マンガ作文を真似てやったのはいいけれども、1年もひきずってしまっている生徒がゴロゴロ出現しているようです。それは教える側のテングと怠慢の結果でしかなく、生徒の側の問題ではまったくありません。
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やはり、医者の腕とは、薬の効き目とは異なるものであり、その処方をどうするかという点に劇然としてあります。これと同じようなことが、他の分野とか場所にもあるような気がしてこれを書いています。