「高校無償化」 朝鮮学校全国オモニ会代表ら、文科省に要請
〝大臣と会わせて〟
文科省を訪れ、朝鮮学校への「無償化」制度の即時
適用を求める一行 |
「第9回全国オモニ大会」実行委員会と朝鮮学校全国オモニ会連絡会のメンバーらが3日、文科省の初等中等教育局高校教育改革PT高校修学支援室長らに会い、朝鮮学校の生徒たちに「高校無償化」制度を差別なく即時適用することを求めた。要請には、社民党の服部良一衆院議員が同行した。一行は、野田佳彦首相と平野博文文科相あての要望書を手渡した。
一行は、朝鮮学校への「無償化」制度適用の可否を決める文科相と会い、直接声を届けたいと切に訴えた。
「無償化」問題浮上から約2年、審査再開から5カ月余りが経ち、朝高3年生たちの卒業が再び目前に迫ってきている。オモニたちは、生徒たちが昨年の卒業生たちと同じように悔しい思いを抱いたまま巣立っていく理不尽さに憤りをあらわにした。
東京朝鮮学校オモニ会連絡会の厳広子代表は、「無償化」問題によって各自治体に悪影響が及んでおり、今年度、東京都は都下の朝鮮学校に対する補助金の予算計上さえもしなかったとしながら、「『無償化』問題以前の状況に戻してほしい。このことで、私たちにより住みづらい社会になってしまった。早急に適用するべきだ」と述べた。
神奈川朝鮮中高級学校オモニ会の朴京愛会長は、「『無償化』というすばらしい言葉の裏には、朝鮮学校外しという残酷な現実があるということをしっかりと認識しなければならない」と訴えた。
また、埼玉朝鮮初中級学校オモニ会の金順愛会長は、今春、朝高に入学する子どもと共に2年前から必ず「無償化」制度は適用されると信じて子どもと共にたたかってきたが、その期待も裏切られ、学校生活とは別に「無償化」実現のためにたたかわなければならないかもしれないと不安を抱いていると語りながら、「駅前で『無償化』制度適用のビラを配る中級部の娘に暴言を浴びせた日本人がいた。(日本社会の差別構造は)私が学生の頃と何も変わっていない。この差別の連鎖を早く断ち切らなければならない」と述べた。
東京朝鮮中高級学校オモニ会の朴史鈴会長は、この問題が先延ばしにされるたび多くの矛盾を感じるが、結局本質は朝鮮学校に対するただの差別というほかないとしながら、解決の手段は訴訟という形しか残っていないのかと思うとやりきれないと語った。
一方、文科省の職員たちは、「新任の大臣は、変わらず厳正に粛々と審査を行うという見解だ」「(審査の遅延は)決して時間稼ぎではない」などと返答しながら、要請の内容を大臣にしっかりと伝えると話した。