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島田市がれき処理に賛否

2012年02月04日

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試験焼却の中止や業務委託契約の撤回を求める要望書を読み上げる島田市の母親たち=県庁

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がれきを焼却する予定の田代環境プラザ=島田市伊太

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■試験焼却 市民有志「撤回を」 市長「説明十分」

 島田市と県は3日、岩手県山田町のがれきの試験焼却を16日に実施すると発表した。市民からは依然として放射能被害を不安視する声があがる。焼却結果で「安全・安心」はもたらされるのか。受け入れ方針を表明していない他の自治体も注視しており、広域処理が広がるかの試金石となる。

 試験焼却の日程が発表された後、島田市の母親や市民有志は県庁を訪れ、市と県、岩手県が交わした試験焼却のための覚書などの撤回を求めた。母親らは「住民の理解を得ていない」と批判。県廃棄物リサイクル課は「安全を確認しながら進めているので、ご理解いただきたい」と説明した。

 要望したのは、「安心して暮らせる島田をつくる親の会」などの9人。3日までに受け入れ反対の署名約8千人分を集めたとして、慎重な対応を要望。さらに「市長が独断で進めている」と行政の手法も批判した。

 小学生の子の母親という40代の女性は「将来健康被害が出てしまうのではないかと心配になる」という。

 島田市の桜井勝郎市長はこの日、「試験焼却で証明される安全なデータを示して、粛々とやっていく。安全なデータを示しても拒否される方々には、我々としても毅然(きぜん)とした態度で臨むつもりだ。説明はし尽くした。説明の希望があれば、さらに説明していきたいと思っている」と話した。

 がれきを搬出する山田町はどう受け止めているのか。沼崎喜一町長は「心配の声が出るのは、その通りだと思う」と前置きした上で、「試験焼却では汚染された危険な数値は出ないと確信している。結果で判断してほしい」と理解を求めた。

 岩手県が測定した結果、放射能濃度は1キロあたり12〜13ベクレルだったとして、「自然界から受ける放射能の程度」と説明する。島田市の受け入れ方針表明後は、「なぜ自分のところでやらないのか」と町を叱責(しっせき)するメールが届いているという。

 沼崎町長は「仮設の焼却炉も建設し、岩手県内の他の自治体でも処分しているが、それでも処理しきれない」「がれきが少なくなることで初めて、復興に向けて気持ちを明るくすることができる。何とかご支援いただきたい」と話した。

 県内の他の自治体はどう見ているのか。

 県市長会の鈴木尚会長(富士市長)は「島田市の判断でやられることで、前に進んだのは良いことだと思う。ただ、報道で知った程度なので市長会としてのコメントは控えたい。試験焼却のデータを頂くことが出来れば、判断材料の一部にしたい」と話した。
 町村会の遠藤日出夫会長(長泉町長)は「島田市長の被災地支援の強い思いで試験溶融に踏み切ることですので、住民の皆様が安全性に納得される結果が出るよう願っています」と話した。

■放射能17項目で測定 焼却灰・排ガス 住民の要望も反映

 島田市が3日に公表した試験焼却の計画では、環境省のガイドラインで示された焼却灰と排ガスの放射能濃度を含め、計17項目で測定を実施する。市は、住民の要望に応えると説明した。

 まず、普段の市民生活で受ける放射能濃度や空間線量を、ごみ処理施設「田代環境プラザ」(同市伊太)周辺などで測定する。近くにある伊太小学校や大津小学校、家庭から出るごみや焼却灰自体も測定し、試験焼却を実施した後の各数値と比較する。空間線量は、住民から要望があった地上1メートルと5センチの2点で測ることにした。

 搬入するがれき(木材チップ)は搬入前に、岩手県山田町の仮置き場で空間線量を測定。山積みになっているチップの10カ所以上からサンプルを取り、チップ自体の放射能濃度も測る。

 この時の測定や、コンテナへの積み込み時で、(1)放射性セシウムが1キロあたり100ベクレル以下(2)空間線量率がバックグラウンドの3倍以上にならないこと(3)鉛の容器で遮蔽(しゃへい)した状態の線量率が0・01マイクロシーベルト以下、という条件を満たした場合に静岡県への搬入を決定する。

 10、11日にコンテナ5台に積み込み、鉄道を利用して田代環境プラザには16日朝に到着する見込みだ。16日からの試験焼却には、川勝平太知事と島田市の桜井勝郎市長も立ち会う予定。

 希望する住民や県内の自治体関係者は、山田町での搬出作業に立ち会うことも可能だという。

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