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政治
【主張】海兵隊先行移転 普天間移設し抑止強化を
米政府が在沖縄海兵隊のグアム移転を米軍普天間飛行場移設と切り離して行う計画を提起したことで、普天間問題は重大な局面を迎えた。
国防費削減と対中軍事シフトを急ぐ米国が、普天間移設が進まない現状で海兵隊移転の見切り発車を打ち出した形だ。極めて残念である。今後の懸念は、現行合意でグアム移転とセットとなっていた普天間移設が切り離しによって現状で固定化され、日米同盟の抑止力も損なう結果となりかねないことだ。
この事態を招いた原因は3代の民主党政権が迷走し、日米合意を履行していないことにある。
とりわけ相次ぐ「素人」防衛相起用などで解決を一層困難にした野田佳彦首相の責任は重大だ。同盟の信頼と日本の安全確保のためにも、首相は不退転の決意で移設を果たさなければならない。
米側の構想は、グアムに移転する海兵隊員を5千人弱にとどめ、3千人をハワイ、豪州、フィリピンなどに分散配備するという。
移転費用削減と中国軍が進める接近阻止・領域拒否戦略への対応を最低限で果たせる半面、朝鮮半島や尖閣諸島など日本直近の有事の際には、日本の守りが手薄になる恐れもある。日本が憂慮すべき問題の第一はここにある。
第二に、グアム移転は普天間移設、嘉手納以南の施設返還などと一体化した合意だ。抑止力の維持強化と基地負担の大幅削減を果たす唯一最良の計画といえる。
海兵隊が先行移転し、普天間が現在の宜野湾市に固定化されれば抑止の実効性と基地負担の両面でダメージは計り知れない。宜野湾市長選は5日告示されるが、地元もこの点を深く考えてほしい。
玄葉光一郎外相は今後の日米協議を「柔軟性をもって進める」としているが、日米合意を修正する場合でも、速やかに普天間移設を果たすことによって、日本の安全と抑止力を確保するように全力を挙げるべきだ。
そのためには、首相が自ら沖縄を訪問して移設の必要性を説得するなど政府としてなすべきことが山積している。口先では「同盟重視」「移設促進」といいつつ、任用した防衛相の失言問題などで結果的に同盟の基盤を掘り崩し、危機的状況を招いていることが最大の問題といわざるを得ない。
野田首相の無責任な姿勢が元凶だ。強く反省してもらいたい。
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