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事件
【東日本大震災】仮設住宅不適切入居 「賠償対象外される」手放せない事情
2012.2.5 01:30
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東日本大震災後に建設された仮設住宅をめぐり、居住実態がない入居者がいないかを探る実態調査が、福島県広野町などの地元自治体で行われることになった。入居できずにいる被災者に広がる不公平感の是正が目的だが、「不適切入居」の線引きは難しい上、住民側にも仮設を手放せない事情がある。「悪質な入居者は立ち退かせる」という行政側の対応がスムーズに進むかどうかは不透明だ。(小野田雄一)
「仮設に住まず、倉庫代わりに使っている人もいるようだ。狭い仮設でまじめに暮らしているのが、ばからしくなる」。広野町が、隣接するいわき市に建てた仮設住宅に暮らす男性(60)はこう憤った。
「不適切入居」が起きる要因はいくつかある。一つは避難制度の問題だ。
現行制度は、必要に応じて1世帯が借り上げ住宅と仮設の双方に申し込める。例えば夫が通勤のために仮設に入居し、妻が介護や育児のために借り上げ住宅に入居するケースが該当する。本来は被災者の利便のための仕組みだが、実際には仮設が不要でも申し込めてしまう。
原発事故をめぐる賠償の先行きが不透明なことも住民が仮設を手放しにくい理由だ。現在は避難者らに1人当たり月10万円などが賠償されているが、4月以降の賠償について国は明確な方針を示していない。広野町は4月に「帰還宣言」を行う予定だが、帰還が実現すれば賠償期間の短縮や減額の可能性もある。
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