欧州債務危機:ユーロ圏国債格付け引き下げ検討…S&P

2011年12月6日 11時19分

 【ワシントン平地修】米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は5日、債務危機問題に直面するユーロ圏15カ国の国債の長期信用格付けを引き下げる方向で検討すると発表した。同社は今月8、9日の欧州連合(EU)首脳会議後、できるだけ速やかに見直しを行うと表明。会議で危機解消に向けた抜本策を打ち出せなければ、独仏など最上位格付け「AAA」の6カ国を含めて一斉に格下げされ、世界市場に混乱が広がる恐れがある。格下げ方向での見直しは、ユーロ圏各国がまとまって危機対応に当たることを強く求める市場側からの圧力とも言える。

 15カ国はユーロ圏全17カ国のうち、すでに格下げ方向とされているキプロスと、ほぼ最低水準まで格下げされたギリシャを除くすべての国。S&Pは通常3カ月以内に格付け見直しを判断する「クレジットウオッチ」を「ネガティブ(弱含み)」に指定した。

 ユーロ圏諸国が債務危機への具体的な対応で合意できない状況が続いていることや、景気後退に陥る可能性が高まっていることを主な理由に、「ユーロ圏全体の信用に対する下方圧力が高まっている」と判断した。ドイツやオランダなど6カ国は1段階、フランスなどその他の国は2段階格下げされる可能性があるとしている。

 ユーロ圏諸国は、欧州金融安定化基金(EFSF)の資金規模拡充など危機対応の枠組みについては合意しているが、資金調達など具体策での合意には至っていない。EFSFは各国の信用力が基礎となっており、独仏などユーロ圏を主導する国の国債が格下げされれば、対応策の見直しを迫られる恐れもある。

 フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相は5日の会談で、財政規律を守れない国に制裁を自動的に発動するようEU基本条約を一部改正することなどで合意した。それらを討議する首脳会議で、どこまで踏み込んだ危機対応策を打ち出せるのかが、一斉格下げ回避の焦点となる。

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