西成再生はまず結核対策から――。橋下徹大阪市長は、労働者の街として知られる同市西成区のあいりん地区で、罹患(りかん)率が全国一高い結核の治療や予防に最優先で取り組むよう市幹部らに指示した。子育て世帯を優遇する西成特区構想を打ち出したが、大阪府幹部から指摘を受けて実情を知り、結核対策に「エネルギーを投入する」と方針転換。新年度予算で対策費の積み上げも検討する。
大阪市の人口10万人あたりの結核罹患率は2010年で47.4人にのぼり、政令指定市では40年連続で最悪。あいりん地区に限ると516.7人で、国平均の28倍に達する。高齢化した日雇い労働者や路上生活者が多く、免疫力の低下などが指摘されている。
橋下氏は1月、西成区の振興に向け、市外から転入する子育て世帯向けの市税減免や、低所得層向けの教育クーポン配布など予算を重点配分する「特区構想」を提案。しかし、健康・医療対策は主な検討課題となっていなかった。