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沖縄防衛局:局長更迭延期 自民の及び腰にらみ 明確な違反ないと判断

 防衛省沖縄防衛局長の「講話」問題で、政府は3日にも予定した真部朗局長の更迭を先送りした。明確な法令違反が見られないとの判断に加え、過去の自民党政権でも同様の投票呼びかけが行われた可能性が浮上。政府・民主党内で「まだ持ちこたえられる」との見方が強まったためだ。

 「役人の責任じゃない。政治家がずっとやらせてきた」。国民新党の下地幹郎氏(沖縄1区)は3日の衆院予算委員会で、98年の沖縄県名護市長選など政権交代前の過去の選挙を挙げ、沖縄防衛局と前身の那覇防衛施設局による関与を「政府が容認した」と指摘。自民、公明両党の「連帯責任」を示唆した。一方、自民党の中谷元・元防衛庁長官は、政府の更迭方針を「根拠があいまいだ」とただし、真部氏への同情をのぞかせた。途中からは田中直紀防衛相の資質などに批判の的を移した。

 参考人招致された真部氏は、宜野湾市長選に投票を呼びかけた講話について「私が発案した」と本省の関与を否定。特定の候補予定者への投票誘導も認めなかった。職員に同市在住の親族がいるか調べたことに関しては「同様の教育を(親族のいる職員に)行いたかった」と釈明した。

 田中氏は集中審議で「結果的に世間を騒がせた」と更迭を改めて示唆。だが政府には「法令違反がないのに処分すれば、あしき前例になる」(高官)と慎重論がある。さらに政府・民主党には自民党の及び腰を見透かし、批判をかわせるのではとの思惑も浮上。民主党関係者は「過去にさかのぼって調べるべきだ。(自民をけん制する)人質だ」と語った。

 ただ、更迭を先延ばしにすれば沖縄県民は反発を強め、政府が目指す米軍普天間飛行場(宜野湾市)の県内移設は遠のく。集中審議でも「公務員の政治的中立」をめぐる本質論は深まらなかった。地元を置き去りに、与野党が互いに相手の失点をなじる不毛な「泥仕合」にもなりかねない。【福岡静哉、新垣和也】

毎日新聞 2012年2月4日 東京朝刊

 

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