韓国取引所は3日、財閥の一角、ハンファグループの持ち株会社ハンファの株式の売買を週明け6日から停止すると発表した。ハンファが金升淵(キム・スンヨン)会長、南令繕(ナム・ヨンソン)社長らが背任罪で起訴されたと公示したことで、同社が上場廃止審査の対象になるかどうかを検討するための措置。韓国の十大企業グループの株式が大株主の背任事件で売買停止になるのは今回が初めてだ。
公示によると、検察は2日、ソウル西部地裁で開かれた公判で、背任罪で起訴された金会長に対し、懲役9年、罰金1500億ウォン(約103億円)を求刑した。背任行為による被害金額は899億ウォン(約62億円)で、自己資本(2兆3183億ウォン=1590億円)の3.9%に相当する。同比率が2.5%を超えると、韓国取引所の規定で、上場廃止審査の対象となる。
上場廃止審査の結果が出るまでは、ハンファの株式売買が停止される。韓国取引所のソ・ヨンワン公示チーム長は「できるだけ早く上場を廃止するかどうか決定する」としており、売買停止が数日にとどまる可能性もある。
ハンファは「検察が背任罪で起訴、求刑を行っただけで、起訴事実が確定したわけではない。審査では株式取引に支障がないよう説明を行いたい」と表明した。取引所のソ公示チーム長は「大株主の背任が会社の財務構造に大きな悪影響を及ぼさない場合、上場廃止にまでは至らないのではないか」と述べた。過去に大株主が横領、背任で起訴された養鶏業者マニカー、宝海醸造なども株式売買が一時停止されたものの、上場廃止には至らなかった。
これまでも財閥のオーナーが背任や横領で起訴されたことはあったが、求刑段階で上場企業が上場廃止審査を受けた例はない。取引所の規定では、2009年から大株主の背任、横領事件で判決が出た場合、上場廃止審査を行えるようになり、11年4月からは判決確定を待たず、上場企業が大株主の横領、背任容疑を公示した段階から上場廃止審査を行うことが可能となった。ハンファは大企業としては同規定の適用第1号となった。