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【社会】

練馬区の高齢者施設計画 高架下で“渋滞”

2012年2月4日 13時53分

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 関越自動車道の高架下の空き地に高齢者センターを整備する東京都練馬区の計画が難航している。用地を無償で確保できるメリットがあるが、住民からは「震災時に不安があり、日照もない場所に高齢者を押し込めるのは無理がある」と反対の声。その上、高架を支える橋脚が障害となり、建物の構造が国の基準などに違反する恐れも出てきた。 (柏崎智子)

 区の計画によると、予定地は大泉地区にある関越道高架下で、長さ約八百メートル、幅約三十メートルの空き地。機能回復訓練室や浴室を設け、スポーツ施設なども整備する。

 「なぜ危険な所に体の動きが敏しょうでない老人のためのセンターをつくるのか」。関越道の耐震性を懸念した暉峻(てるおか)淑子(いつこ)埼玉大学名誉教授=同区在住=が昨年十一月、区へ公開質問状を出した。区は「阪神大震災を踏まえた基準で補強されたと聞いている」と問題視していない。

 また建物の構造で問題となるのは、三棟を連絡通路でつなぐ点だ。通路は橋脚間に設けるが、住民が測ったところ橋脚間は最大三・八メートルしかない。国土交通省の通達で建物は橋脚から一・五メートル以上離すことになっており、通路の幅は八十センチ程度になる計算。一方、区条例では高齢者センターの廊下幅を一・四メートル以上と規定する。

 区は「国交省基準は原則で、必ず守らねばならないものではない」とし、幅一・四メートル以上の通路を取り外せる形状などにして、例外的に認めてもらう方向で検討するという。

 区が高架下にこだわるのは、所有者の独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」の許可を得れば用地を無償で借りられるからだ。区は「他の三地区の高齢者センターはすでに完成した。事業費が半分程度ですみ、早期整備につながる」と説明する。

 昨年の区議会には推進派から一本、見直しを求める側から四本の陳情が出て、推進側だけが採択された。区は「住民合意を得られた」とするが、機構との交渉窓口となるネクスコ東日本との協議も棚上げ状態。

 二〇一一年度に組んだ測量や設計などの予算五千八百万円のうち、実施できたのは約二百万円の環境調査だけで、新年度は「先が見えない」として、予算を測量委託費八百五十二万円に減額する。

 「関越自動車道側道住民の環境を守る会」の間中敦子代表は「課題の多い計画をなぜ強行するのか。もっと住民の声を聴いてほしい」と話している。

(東京新聞)

 

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