ボタフォゴからのオファーに揺れているグランパスのDF闘莉王=中部国際空港で(木村尚公撮影)
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名古屋グランパスのDF田中マルクス闘莉王(30)が3日、中部国際空港に来日した。ブラジルのボタフォゴから獲得のオファーを受けており、移籍へ傾きかけている心境を吐露。チームが始動する5日にも久米一正GM(56)と直談判する考えを明かした。クラブ側は全力で慰留する構えで、迷える闘莉王の動向が注目される。
長時間のフライトの間、闘莉王の胸に去来していたのはグランパスへの愛か、それとも故郷への思いか。中部国際空港に降り立ち、闘莉王は重い口を開いた。「とにかく久米さんと話がしたい。電話じゃダメだと思ったから帰ってきた。オレにとってもグランパスにとっても、いい方向を出せればいい」。明言は避けたが、言外に「移籍」をほのめかせた。
16歳まで過ごしたブラジルには今も両親が住んでいる。そんな故郷の名門チームからのオファーは、闘莉王の心を激しく揺さぶった。「ブラジルから日本にくる選手は多いけど、なかなか逆のパターンはない。結構いい条件も提示して頂いた」。グランパスとの契約はあと1年残っているが、ボタフォゴ側は高額の移籍金を支払う準備を整えているという。
ボタフォゴを指揮する元鹿島のオリベイラ監督からは直接ラブコールを送られた。「気持ちが伝わった」と闘莉王は言う。長い間離れ離れだった家族のそばでプレーしたいという思いも強く、「やっぱり母ちゃんは戻ってきてほしいって言ってた」としみじみ語った。
グランパスには愛着がある。「名古屋には一つの文句もない」と強調する。今オフ中はブラジルに僚友のMF小川を招いて自主トレをともにした。チームリーダーとしての責任も感じているから、闘莉王の思いはさらに揺れている。
「ブラジルでリフレッシュできた。(痛めていた)右ひざも大丈夫。向こうではサッカーもしていたよ」と闘莉王は笑う。フィールドでの存在感は絶大。迷いを一掃してチームへ戻ることを、今は願うしかない。 (木村尚公)
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