富山のニュース 【2月4日01時31分更新】

信号機、雪国は縦型主流 富山県内、ほぼ100%

交差点に設置された縦型の信号機=富山市白銀町
 隣県の石川から、ここ富山県に転勤してきた知人が「富山は運転しにくい」と言う。理 由を尋ねると、「信号機が縦型で見づらいから」らしい。富山育ちの身としては縦型は当 たり前。富山に限らず、降雪量が多い地域は縦型が主流のはず。批判を受けたようで心外 だ。果たして縦型は少数派なのか。まず富山県警を訪ねた。(安田淳一郎)

 「ほぼ100%が縦型ですね」。県警交通規制課の高原惠次席が答えてくれた。高原次 席によると、県内にある2375台の信号機(設置中を含む)は、数台を除いて縦型だ。 わずか数台の横型が設置されているのは、高架橋や高速道路下など、縦型では見にくい場 所に限られている。

 実は、県内の信号機は30年以上前は横型が主流だった。それが1981年の「56豪 雪」を境に、縦型が増えていった。「当時は雪の重みで信号機が外れたこともあったそう です」と高原次席。縦型は、横型と比べて雪がたまる面積が少ない。雪国の知恵というわ けだ。

 北海道警に電話取材をしてみると、北海道も縦型が主流だそうだ。

 興が乗ってきたぞ。豪雪地帯で知られる新潟県、同じ北陸の福井県にも尋ねても、やは り縦型がほとんど。青森県は1万4139台のうち、横型が44%ある。雪の少ない太平 洋側は横型、逆に雪がよく降る日本海側は縦型が多いらしい。雪国の信号機は、やはり雪 がたまらない縦型が主流なのだ。

 しかし、一方の石川県は、県警によると、2281台の信号機のうち2254台が横型 となっている。縦型はわずか27台。その大半は、豪雪地帯の白山麓に設置されている。

 石川はなぜ横型が多いのか。疑問をぶつけてみると、「ドライバーの視認性に配慮した 結果、横型が普及しているのではないか」との答えが返ってきた。ただ、雪が少なくない にもかかわらず、縦型が浸透しなかった理由については分からないそうだ。

 ちなみに、警視庁によると東京都内はほとんどが横型、京都府警によると京都も2台を 除いて横型との回答だった。

 さて全国では、省エネ、西日対策など運転手の見やすさに配慮し、発光ダイオード(L ED)を使った信号機が普及している。薄型のため、横型でも雪がたまりにくい「優れも の」だ。

 ならば富山県内でも、更新の際は首都東京に倣(なら)って、横型に切り替わっていく のだろうか。が、ご安心あれ。県警交通規制課によると、既に約3割はLED製だが、縦 型が導入されている。今後設置するものについても縦型の見込みだ。

 こうしてみると、日本海側の降雪地帯にあって、石川県は例外というべきなのだろう。 先の知人には、「郷に入れば郷に従え」と安全運転を指示した次第である。


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