電機や自動車など製造業の決算が総崩れする中、大手商社は対照的に業績好調で「独り勝ち」の様相となった。三日に出そろった大手商社七社の二〇一一年四〜十二月期連結決算は、海外の資源関連企業などへの積極投資が功を奏し、資源価格の上昇と増産効果で、三菱商事など六社の純利益が前年同期を上回った。
伊藤忠商事は四〜十二月期で過去最高の純利益二千百六十七億円を達成。鉄鉱石の価格上昇や販売数量増加があった金属・エネルギー分野が千百五十一億円と、純利益の53%を占めた。
三日に決算発表した豊田通商も、原油価格の上昇や取扱量の増加が増収に寄与。東日本大震災やタイの洪水被害で主力取引である自動車の生産台数が減少したものの、純利益で14・4%増という高い伸びを確保した。
三菱商事は豪州の原料炭子会社の販売数量減があったが、原油価格が約四割上昇したことなどで純利益は前年同期比2・2%増の三千七百一億円を確保。三井物産も石炭や鉄鉱石などの価格上昇で、住友商事は亜鉛などの販売が堅調で純利益はそれぞれ20%以上の増益となった。丸紅も石油と石炭の価格上昇により32・1%の増益となった。
一方、双日だけは、税制改正に伴う繰り延べ税金資産の取り崩しが響いて純損益が赤字に転落した。
商社の好業績を支えてきた資源価格は、ピーク時よりは下落している。三井物産の岡田譲治常務は「鉄鉱石の価格が下落している今の状況が続けば、金属資源分野の業績は落ちる」と警戒しながらも「非資源分野の投資が今後、実を結び、資源価格の値下がりをカバーするのが理想だ」と述べた。一二年三月期連結決算の純損益予想は、伊藤忠が上方修正し、六社も据え置いた。
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