中畑監督　ケータイさい配　インフル隔離　ホテル１２階から

　インフルエンザにかかったＤｅＮＡの中畑清監督（５８）が３日、宜野湾球場の左翼席奥の選手宿舎ホテル１２階から“遠隔采配”をふるった。チーム内での感染拡大を防ぐため「勇気ある撤退」と称して６０平方メートルの自室スイートルームにこもった中畑監督は、グラウンドで代行を務めた高木ヘッドらと携帯電話で連絡を取り合った。

　午前９時５７分、中畑監督は、自室のテラスに出て、グラウンドに集まった選手たちに向かって手を振った。およそ４００メートル。高木ヘッドからの電話を右手で受けながら笑顔で左手を振ると、これに呼応して選手全員が手を振り返した。テラスからの指揮を発案したのは高木ヘッド。「じっとしていたら監督は何するかわからないんでね。発散させないと。ちょこちょこ上から見てましたね」と話した。

　中畑監督は、５年前にレーシック手術を受け、０・５だった視力が１・５に改善した。１２階からの指揮にも支障はなく、細かいところは録画を指令。この日は、国吉の投球などを録画。さっそく届けられた。グラウンドにいなくても存在感は抜群だ。選手が監督の部屋を見上げる場面が何度もあった。筒香と内藤に特守のノックを打っていた、白井内野守備コーチは「監督が上でチェックしているぞ。『頑張ってまーす』と言ってみろ」とゲキを飛ばした。

　高木ヘッドから、この日の報告を受けた中畑監督は広報を通じて「非常にバランスのいい練習だったと思う。ピッチャーも内野手も非常に集中力を保ったまま、練習できていたと思う」と大満足のコメント。「今日は特に、日ごろとは違う目線で、ホテルの上から練習を見渡すことができた。本球場、サブグラウンド、すべてを使って非常に効率の良い練習ができていた。上から見ていて気持ち良かった。このままずーっと見ちゃおうかな」とニンマリ。前代未聞のスイートルーム采配に満足げ。夜には平熱に戻り、担当医師も順調な回復と診断。５日にグラウンドに復帰できる見込みとなった。（後藤慎一）