呂健二氏-民団地方参政権獲得運動本部本部長代行
地方参政権の審議はストップしているが運動はまだ道なかばだ。指紋押捺問題は『91年問題』で解決したが、その間、多くの方が努力して長い闘いをやってきたからだ。
地方参政権というのは日本の地域社会の仕組みを根幹から変えるものだ。この壁は簡単に越えられるものではない。この運動はパンドラの箱を開けるような仕事だ。最後に何が出てくるかわからない。何年もかかるだろうという覚悟で始めた。現時点で国会での審議は終わっている。あとは法案が提出されるか、されないかだけだ。ところが、今はこう着状態にある。大きな理由のひとつに、力量不足など反省しなければならないこともあるが、水を差したのは拉致問題と『5・17』問題が決定的な要因。韓国のパスポートを持ちながら、朝鮮総連の活動をしている人たちもいる。
また日本経済低迷や年金問題などで若い人たちが将来に展望を見出せないで外国人のことを考える余裕がない。残念だがナショナリズム的な傾向が強まっている。国会議員も若い層に代わり、自民党や民主党に関係なく私たちがなぜ日本にいるのか、わからない人たちも多い。
次の執行部には、まずは運動の進め方として、運動の枠を決めてもらいたい。今は地方参政権本部だが、以前は委員会だった。運動をする部署の再構築が必要。そして強力なスタッフとよく情勢分析した上で活動方針を打ち出してもらいたい。
李根茁氏-民団宮城団長
私たちの力量の問題になっているが、日本の政治状況の中で決まることだ。地方参政権運動の『旗』を降ろさない限り、この運動を粘り強く続けていくべきだ。一昨年まではシンポジウムをやったり、国際的なお祭りに出て行ったりしたが、今はストップ状態が続いている。地方参政権の歴史的な成り立ちから言っても、現在の多文化共生社会の中でこの運動の役割は大きいと思う。
地方参政権は日本の方からお願いして与えるべきだという日本人もいる。そういう仲間をもっと増やしていくべきだ。反対者が先鋭化しているが、それは私たちの力が大きくなったことを立証している。私たちの運動は間違いではない。ここでがっかりする必要はない。取れる寸前まで来ている証拠だ。
坂中英徳氏-移民政策研究所所長
最初は特別永住者だけに限定して求めていたものが、ある段階から一般永住者も含まれるようになった。現在、一般永住者は在日中国人や日系ブラジル人が多数。在日外国人の社会状況も変化している。彼らが求めているかと言えば、そうでもない。日本人側からみると、地方参政権を付与しようかという気持ちにはならないのではないか。
基本的には外国人に地方参政権や政治関与は許さないという日本の政治家の姿勢は変わらない。外国人に地方参政権を与えるとなると、政治資金規正法も変えなければならなくなる。地方や国政も含めて外国人勢力から日本の政治が動かされてはいけないというようになっているし、お金をもらってもいけないようになっている。政治資金規正法はそう簡単に改正できない。 |