大阪市は、防犯や景観上の問題となっている無人家屋について、行政の判断で撤去の手順を定める「空き家条例」制定の検討を始めた。特に西成区や生野区では住宅の約2割を空き家が占め、住民からも苦情や要望が出ている。橋下徹市長は西成区の活性化を図る特区構想を打ち出しており、街の環境改善策として注目されている。
市によると、住宅の空き家率はトップの生野区で21%、西成区で20%。両区では戦前に建てられた木造家屋が多く残り、所有者が死亡するなどして長く放置され、屋根や外壁が崩れた家もある。近隣の住民からは「建物が倒壊しそうで心配」「ゴミが投棄されている」などと改善を求める声が出ていた。
西成区では昨年末、木造の空き家から出火して周囲の計7棟が延焼する火災が発生。原因は不審火とみられ、防災面の問題点も指摘されていた。