政治【主張】電力不足 安定供給に危機感足りぬ2012.2.4 03:16

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【主張】
電力不足 安定供給に危機感足りぬ

2012.2.4 03:16 主張

 厳しい冷え込みで、電力需給が全国的に逼迫(ひっぱく)している。3日には九州電力の火力発電所が配管の凍結により一時運転を休止し、他の電力会社からの緊急融通で賄う事態に追い込まれた。

 寒さはしばらく続くと予想されている。電力会社は、安定的な電力供給に万全を期してほしい。そして政府には、原発再稼働など電力不足を解消するための具体策を実行してゆく責任がある。

 日本列島が寒波に直撃された2日、沖縄電力を除く9電力会社で今冬の最大電力を記録した。電力供給力に対する使用率は九州電力で一時97%に達するなど、軒並み90%を突破した。予想外の大停電も引き起こしかねない、危険な水準である。

 にもかかわらず、電力業界を所管する枝野幸男経済産業相は3日、「来週以降も発電所の停止や気候変動リスクがある」と述べるにとどまり、安定供給の方策には言及しなかった。あまりに無責任ではないか。

 そもそも、深刻な電力不足は定期検査を終えた原発がいまだ再稼働に至っていないために起きている。電力確保の責任を持つ政府には危機感が感じられない。

 各社とも企業や家庭に節電を呼びかけているが、今後も電力供給は綱渡りの状態が続く見通しだ。厳しい寒さの中では節電にも限りがある。高齢者にとっては健康にも影響が出かねない。

 九州電力は発電所停止で管内の大口顧客企業に緊急節電を求めた。しかし電力供給が不安定なままでは産業空洞化に一層、拍車がかかってしまう。

 国内の全原発で現在も稼働中なのは3基にとどまり、4月にはすべてが稼働停止する。電力各社は対策として、老朽化で運転を止めていた火力発電所を再開させているが、故障で突然、運転がストップする事態も想定しておかねばならない。

 全国的に余裕のある電力供給体制を確立するには、安全性が確認された原発を順次、円滑に再稼働させてゆくしかない。

 まず原子力安全・保安院には、電力会社が提出したストレステスト(耐性検査)を迅速に審査してほしい。さらに野田佳彦首相には、最高責任者として原発が立地する自治体に対する説得など、原発再稼働の先頭に立つための行動を求めたい。

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