在日アメリカ軍の再編で、沖縄の海兵隊8000人をグアムに移転する計画について、アメリカが、一部をハワイなどアジア太平洋地域の別の拠点に振り向ける方向で日本と協議を進めていることが明らかになりました。また、移転計画を進めるため、海兵隊の移転と普天間基地の移設問題は、切り離して議論すべきだという意見が、日米両政府の中で浮上しています。
在日アメリカ軍の再編を巡る日米合意では、沖縄の普天間基地を名護市辺野古に移設するとともに、沖縄に駐留する海兵隊8000人をグアムに移転することになっています。これについて、玄葉外務大臣は、3日夜、記者会見し、「普天間基地の移設と沖縄海兵隊のグアム移転が、共に進むような方策について、柔軟性を持って、アメリカと静かに協議をしている」と述べ、アメリカが、海兵隊のグアムへの移転計画を、一部見直す方向で、日本と協議を進めていることを明らかにしました。政府関係者によりますと、具体的には、移転する海兵隊の人員は8000人を維持するものの、一部を、ハワイなどアジア太平洋地域にあるアメリカ軍の別の拠点に振り向けることも含めて、検討されているということです。この背景には、グアムの施設整備が遅れているうえ、オバマ政権がアジア太平洋地域を重視する新たな国防戦略を打ち出したことなどがあるとみられます。一方、沖縄に駐留する海兵隊の移転は、これまでの日米合意で、普天間基地の移設が前提条件となっていますが、移転計画を進めるため、海兵隊の移転と普天間基地の移設問題は、切り離して議論すべきだという意見が日米両政府の中で浮上しています。ただ、海兵隊の移転が先行すれば、沖縄の負担軽減にはつながる一方で、普天間基地が現状のまま固定化することにつながるのではないかという懸念も出ています。
アメリカ国防総省は、沖縄に駐留するアメリカ海兵隊8000人をグアムに移転する計画について、一部を別の場所に移転することも含め、日本政府と協議していることを明らかにし、近くその内容を発表する方針を示しました。アメリカ国防総省の報道担当者は、「オバマ大統領が発表した新国防戦略における部隊の再配置計画に基づき、日本政府とより柔軟で密接な話し合いを行っている」と述べ、海兵隊の一部をグアム以外の別の場所に移転することも含め、日本政府と協議していることを明らかにしました。そのうえで、「最終的な結論はまだ出ていないが、近く詳細を明らかにする」と述べ、今月13日に予定されている来年度の国防予算案の発表にあわせて、詳しい内容を公表する考えを示しました。沖縄に駐留する海兵隊のグアムへの移転を巡っては、アメリカ議会が、移転の条件となっている普天間基地の移設に見通しが立たないうえ、費用がかかりすぎるとして、今年度の関連予算を一切、認めませんでした。今回の協議の背景には、国防費の大幅な削減を進めるなかで、来年度の関連予算を議会に承認してもらうには要求額を抑えることが不可欠で、そのためには、当初の計画を再検討せざるを得なかった事情があるものと見られます。